8/15のしゅちょう
            文は田島薫

(戦争を止める方法、について 14)


先日、新聞のコラムで若い学者が、戦争の止め方は2つあって、戦力の高

い方が徹底的に相手を武力攻撃で制圧する、って場合と停戦交渉でそれを

やる場合だ、って言ってたんだけど、武力での制圧を並列に妥当な政策の

1つ、だって平然と言ってしまえる認識がけっこうまん延してることが、

戦争がいつまでもなくならない根源なのだ。

武力で他国を制圧することは歴史に逆行する野蛮なことだ、って今回のウ

クライナに侵攻したロシアに西側諸国が言ってることは、その通りなんだ

けど、じゃ、侵攻してきた敵国には即反撃するのは正当防衛なんだからと、

正しい方に武器援助して戦闘継続をさせるんでいいんだろうか。

武力侵攻する側も、戦争になれば味方の兵士も死ぬことになるだろうから、

戦争をやりたくて始めたわけではないはずで、理想的には武力侵攻は威し

だけで、相手がすぐに降伏してくれること、次善は、短期に圧倒的優勢に

相手の戦意を喪失させたり地域を制圧して、有利に停戦交渉をする、って

形なんだろうけど、実際にはそういった形にならないことは、かつての日

本と米国との戦争でもベトナムでもイラクでもシリアでもどこでも、戦争

は始まると、たいていだらだらと何年も続くことになるのだ。

ウクライナのキーウ近郊のブチャにロシア軍が最初侵攻した時、住民はロ

シア兵と冗談を言い合うぐらい親しい雰囲気もあったそうで、話せばわか

る、って安心したある老夫婦は娘夫婦の避難に同行せず、残ったところ、

後から来た別のロシア兵たちに惨殺されたそうで、こういった一般市民へ

の危害は戦争犯罪だ、と言ってウクライナ政府は告発してるんだけど、結

局キーウからはロシア兵は撤退したんだけど、それはロシア兵たちにウク

ライナ側からの武力攻撃がひどくなったからなんで、ロシア兵の方も自分

たちの安全を感じてる間は余裕で好意的な接触ができたのが、仲間がウク

ライナ側からの攻撃で殺されたりしたら、住民たちにも疑心暗鬼を起こし

たとして無理はないのかもしれないだろう。

戦争は始まってしまえば、それも激化すれば双方の敵意が先鋭化してしま

うはずだし、激戦地で不利な立場の兵士が相手側の人間に好意的に接する

ことはまず難しいことのはずなのだから、戦場になる場所の市民は必ず避

難するのがいいのだし、侵攻した軍隊に当然の怒りだと言って、すぐに反

撃することは間違いなのだ。

侵攻の威しに恐れ入った態度でいいから、まず最初にやるべきことは停戦

交渉を持ちかけるのがいいのだし、その交渉の席で、あまり理不尽な条件

をつきつけられた場合には戦争になって、双方に多大の死者や損失が起き

る不毛を指摘して妥協しあうことをするのがいいんで、これは、どこかの

有能な政治家からの迅速な仲裁努力がいるのだ。




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