映画だ〜い好き 文は福原まゆみ
尾形映画プロデューサーの友人が仕切る映画制作会社で働く映画好き女史が
エッセーを連載してくれてます。
映画女史、デジタルが取りこぼしてるものを感じてるようです。
【フィルム映画】
ネットでの動画配信が普及するにつれ、テレビ離れも急速に進んだ。スマホさえあれ
ば、好きな時に見たい動画をどこでも見られるし、おまけに見る側が映像を自在にコ
ントロールできてしまう。その自由度は計り知れない。たった3秒でも長いと感じる
デジタル・ネイティブたちにとって、映画の長回しは「退屈」なシーンでしかなく、
容赦なくサーッと早送りされてしまうのだ。なんてことだ!膨大なお金と時間と労力
をつぎ込んでコツコツと映画を作る側にしてみれば、随分乱暴な見方ではないか。
作る方にしてもそうだ。スマホが録画機能も再生機能も有し、画質が格段と良くなっ
ている現在、スマホで作られた映画が劇場公開されるようにもなった。映画は安く簡
単に作られ、好きなようにすっ飛ばしながらチェック(鑑賞ではなく)される。映画を
取り巻く環境が随分と軽くなり、「作品」と呼んでいたものが「消耗品」の如くに消
費されるのは、なんと悲しいことか。
でもその一方で、クリストファー・ノーランの様にフィルムでの撮影に拘り、映画館
の巨大スクリーンで楽しむべき作品を作り続けている監督も存在する。世界にたった
数台しかない何億もするIMAXカメラを、無茶な撮影で壊してしまったという豪快な
逸話まで作り出した人物だ。IMAXにかかる2500円のチケット料金は正直高いけど、
巨大スクリーンで堪能できる2時間なら惜しくはない。これからも、可能な限りフィ
ルムで撮り、スクリーンで上映し続けてほしいものだ。
そんなことを考えながら、長らく押し入れにしまってあった8mmカメラを引っ張り出
し、きれいに磨いてみた。久しぶりに回してみようかな…。