映画だ〜い好き        文は福原まゆみ


尾形映画プロデューサーの友人が仕切る映画制作会社で働く映画好き女史が
エッセーを連載してくれてます。
映画女史、そのジャンルで思い出してみると続々と出てきました。




【野球の映画あれこれ】


少年の映画の企画があり、参考にと少年の群集劇をチェックしている。すると野球にま

つわる映画が多い事に気づく。私が広島カープファンだったものだから、たまたま野球

がアンテナに引っかかっただけかもしれないけれど。いくつか挙げてみると…


『がんばれ!ベアーズ』1976年/アメリカ

野球の上手い女の子(『ペーパームーン』の天才子役テイタム・オニール)がへっぼこ少

年野球団にスカウトされて活躍する。CGなど無い時代だから、テイタムの投げるスト

ライクは本物だ。スゴい!


『瀬戸内少年野球団』1984年/日本

敗戦後の淡路島で、大きな時代の流れに戸惑う大人たちと、野球をやることで団結して

いく少年たちの話。夏目雅子演じる女教師のセリフ「私たち、野球をしましょう」の一

言と、グレン・ミラーの名曲「イン・ザ・ムード」が、キャッチボールした様に見事な

ストーリー展開を見せてくれた。


『バッテリー』2007年/日本

孤独な天才野球少年の家族と友情の物語。大人相手にふてぶてしく対決するシーンが見

事で、球種を宣言して挑むところなどセリフに唸る。原作にあるのかな。

等々、芋づる式に思い出すうち、「少年」の括りを越えて「野球」の映画に思いが移っ

ていく。


『フィールド・オブ・ドリームス』1989年/アメリカ

「とうもろこし畑に野球場を作れば彼が来る」と言う声を信じ、実現してしまう男と家

族の物語。完成した野球場に現れたのは、かつて八百長事件で球界を追われ失意のうち

に亡くなったシューレス・ジョーだった。異界との接点がとうもろこし畑の野球場とは、

悔しくなるほどのアイデアだ。


『ナチュラル』1984年/アメリカ

ロバート・レッドフォードが挫折から復活する野球選手を演じる。金色の夕日を浴びな

がらキャッチボールするスローモーション。ボールを掴んで目を伏せる一瞬の美しさは、

心にドストライクだった。


『君がいた夏』1988年/アメリカ

プロ野球を引退した中年男が、少年期に憧れた年上の従姉の自殺を知らされ、思い出を

辿る。ジョディ・フォスター演じる従姉との思い出が、シーン毎にストップモーション

で永遠に定着されるのだが、「ウェーブ(手を振って)」と言ってストップする一瞬は、

ジョディ・フォスター史上最高の一瞬ではないだろうか。


他にも江夏の活躍が平行描写される『博士の愛した数式』、スカートを穿いて野球する

『プリティリーグ』、日系カナダ移民を描いた実話『バンクーバーの朝日』などなど、

面白い作品は枚挙にいとまがない。全部観直したくなって困るゾ。


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