2/1のしゅちょう 文は田島薫
(創造力の育て方、について 2)
前回、創造力を育てて生かす生活の方が、通り一遍の生き方よりも楽しいん
じゃないか、ってことを言ったんだけど、できるだけ、他人と同じことをし
て満足してないで、じぶんだけの感じ方や考えを伸ばすのがいいのだ、って
言われても、じゃ、そうすっか、ってすぐにできるもんじゃないだろうから、
参考に、アメリカにある会社を本拠にして、世界じゅうの大企業に創造的発
想法のレクチャーや新商品開発の手助けをしてる創造思考の第一人者の濱口
秀司さんの話の概略を以下にご紹介。
たいていの企業の商品開発の過程は、最初の会議の段階から、これまでの経
験知から問題点や改善点を微修正する、ってようなことで決定されて、それ
が製造や販売と最終段階に行くほど、人員と経費が格段に大きくなるんだけ
ど、実は一番重要なのは最初のアイデアの段階なのだ、って。
で、そこの第一段階の創造性を身につける方法、ってことになるんだけど、
その創造性が発揮できにくい原因が一般に行われてる教育方法で、
1、TO DO リスト 2、手順書 3、スキル 4、カルチャー
って順番に教育を受ける形で、これのいいところは、例えば、足し算とは、
こういうもので、こういう方法で解くんですよ、って教えられると、TO DO
と手順を理解してくり返し問題集を解くとだんだん解くスピードが早くなっ
てスキルが身につき、なんとなく足し算とはなにか、って、足し算のカルチ
ャーがわかってくるすごく効率的な方法で、新人でもある程度の成果はだせ
るんだけど、先生の能力を超える可能性は99%ない、と。
先にやり方や答が頭にあってそれなりの成果が出せたら生徒もわかったつも
りになり、じぶんの中で考える力が養われないんで、もっといい方法を編み
出したりするような、創造力が成長しないんだ、と。
こういった一般の人々の土壌があるんで、どっかの企業でなにか新しいこと
を彼がなにか提言した時などに、すぐ、そんなことは不可能だ、ってような
反応が起きがちなんだけど、そんな時に彼はすごく気持が燃えるそうだ。
創造性を学ぶ教育法として、非効率でも、先ほどの順番を、4、3、2、1、と
逆にするのがいいんじゃないか、と。
先に答を全部与えないで、じぶんの頭で個々人が問題と答を発見して行くこ
とで創造性が育つんでは、と。
現実にはその、1、2、3、4、で効率よく学んだとしても、それによるじぶん
の認識はとりあえず凡庸なもので、新しい発想には限界がないのだ、ってよ
うな、謙虚な心構えをだれもが持ったならば、より世の中が創造性に富んだ
ものになるはずなのだ。