映画だ〜い好き 文は福原まゆみ
尾形映画プロデューサーの友人が仕切る映画制作会社で働く映画好き女史が
エッセーを連載してくれてます。
映画女史、映画賞の選考基準から映画の規定について考え込みました。
【映画とは】
去年の作品を対象とする今年の日本アカデミー賞。各部門の優秀賞が発表され、いよいよ
最優秀賞の選考が始まる。毎年送られてくる作品リストを見た時、今回は大きな違和感を
持った。何か足りない。つぶの入っていない”つぶあん”の様なのだ。これじゃあ”こし
あん”ではないか。もう一度じっくりリストを見ると、今年は絶対これだ!と思っていた
『スパイの妻』が入っていないのだ。手帳を開いて鑑賞記録と作品リストを見くらべると、
他にも入っていそうで抜けているものが何本かあった。どれも選考基準から外れているの
だ。つまり…
・TV放映されていないこと。
『スパイの妻』は元々TVドラマとして作られ、放映もされていたので失格。でも多分監督
は気にもしていないだろう。何しろ既に世界の黒澤なのだから。
・劇場で一日3回以上上映されたこと。
深田晃司監督の『本気のしるし』は232分もあり、一日3回の上映は無理。
・二週間以上公開され、モーニングショーやレイトショーではないこと。
多くの自主映画はこれに引っかかり、資格を失う。
う〜ん、悲しい。選考から漏れてしまった作品は映画とはみなしてもらえないような気が
して、何だか悲しくなるではないか。
映画とは何か考えてしまう。劇場公開された後のテレビ放映作品は、誰もが映画と認める
だろうけど、テレビ用に作られたドラマを劇場で上映すると映画ではなくなるのか?昼間
上映されれば一人前の映画で、早朝の上映は半人前?まさか!
かと言って、全ての作品を対象にしていたのでは、鑑賞にも投票にもかなりバラつきが出
て、それはそれで困る。う〜ん、映画の多様化がもたらす混乱はまだまだ続きそうだ。