映画だ〜い好き        文は福原まゆみ


尾形映画プロデューサーの友人が仕切る映画制作会社で働く映画好き女史が
エッセーを連載してくれてます。
映画女史、現役業界労働者としても大変な状況になってます。




【コロナ禍と映画祭】


今年の国際映画祭は、軒並み例年とは違う形で開催される。中には中止に追いやら

れた映画祭も少なくない。

5月に開かれる世界最高峰のカンヌ国際映画祭は、通常開催を諦め他の映画際との

ジョイント開催を発表した。何ということだろう。では、10月末開催予定のT国際

映画祭はどうなるのか…。もう10年も仕事をさせていただき、通常だと6月から出

勤していた映画祭だ。10月開催とは言え、どうなるかは今後のコロナ次第。そうそ

う人間の思うように落ち着きはしないだろう。と、思っていたら、今年は海外ゲス

トを招聘できないため、私のメインの仕事はなくなってしまった! そりゃそうだ。

招聘したとしても、誰も来たがらないだろう。空港で2週間足止めをくらったら、

誰がその費用を払うのだ?


う〜ん、困った。さて、これからどうするか。T映画祭に代わる仕事をしなければ

ならない。

とは言え私は技術者ではないし、学校で映画を教えられる程の経歴も無い。どうし

よう…。冷静になって考える。


今、世の中はコロナでどこも大変だ。NY在住の知り合いから医療崩壊のレポート

が届くが、これは日本の将来の姿かもしれない。そう言えば…と、大昔取得した看

護婦免許を取り出し、しばし見つめる。もしこれを有効利用して病院勤務すれば、

医療現場の助けになり社会貢献できるではないか。役に立つ私。一瞬そんなことを

考えたが、いやいやいや。最後に勤務して何年経つ?35年だ。社会貢献の前に再研

修が必要だろう。再研修に何年かかる?うっ、まったく…社会貢献なんか10年早い

わ! いやいやいや、10年過ぎたら自分の方が介護してもらう側になるではないか。

コロナも社会貢献も私なんぞの手に負えるものではないぞ。


と言う訳で、今年は映画制作に集中しようと腹を括った。後は、これからコロナを

取り挙げた映画が各国でどの様に出てくるか、コロナを通して個人もしくは社会が

どう変わり、どんな未来が思い描かれるのか、明るい未来を願って待とうと思う。




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