映画だ〜い好き 文は福原まゆみ
尾形映画プロデューサーの友人が仕切る映画制作会社で働く映画好き女史が
エッセーを連載してくれてます。
映画女史、コロナ禍での劇場の窮状をなんとかしたい思いです。
劇場再開の願い
コロナ問題で営業自粛要請が出たことにより、軒並み映画館が休館となった。三密を
避けるためにはやむを得ない事と思いつつ、とても心が痛む。いや、実は苦しくて仕
方ない。休館がひと月続いて、後に再開できるところがいくつあるだろうか…。
私が上映に関わっていた映画も、ギリギリまで地方で上映する予定だったのに、公開
前日になって劇場が休館となってしまった。そうなる直前まで、私は映画の宣伝をし
なければならない立場。一人でも多くの人に劇場に足を運んでもらい、映画を観ても
らうことこそが私の仕事だった。でも、できなかった。配給会社にも劇場にも本当に
申し訳ないし、役目不履行で自責の念にも苦しむ。とは言え、やはり見に来てくださ
いとは言えない。寧ろ外出しないでと言いたいぐらいだった。元医療関係者として、
それがいかに危険な事であるかがわかるからだ。
無症状の感染者が動けばウイルスをまき散らす。まき散らした当人は平気でも、影響
は全て周囲の健康弱者にいき、その先の、命を懸けて働いている医療従事者にいく。
既に医療崩壊は起こりつつあり、海外の事例では命の選択を迫られる現場もある。対
応しきれないほど多くの患者がいれば、赤・黄・黒などのテープを貼って、患者に優
先順位を付けるのだ。平常時は「重症度」で順位を決めるが、緊急事態下では「救え
そうな命」が優先される。私は昔、この事を学んだだけでトラウマになった。
コロナ禍の異常事態で、感染防止を優先してしまったけれど、全国のミニシアターや
名画座には絶対に廃館になってほしくない。だからたとえ一時閉館しても、いずれ再
開できるよう、クラウドファンディングに参加し、政府による支援の要望書に賛同し、
個々の劇場の未来チケットを買い、Tシャツを買った。再開の暁には「お帰りなさい」
と言って地方の劇場にも映画を観に行こう。何としても生き残ってほしい。