映画だ〜い好き        文は福原まゆみ


尾形映画プロデューサーの友人が仕切る映画制作会社で働く映画好き女史が
エッセーを連載してくれてます。
映画女史から、変革予兆の米国映画賞への感想。




韓国映画『パラサイト 半地下の家族』4冠!


米国アカデミー賞の発表があり、韓国の『パラサイト 半地下の家族』が作品賞、監

督賞、脚本賞、外国語映画賞の4部門で最優秀賞を取った。


外国語映画賞があることからわかるように、本選は英語作品が対象となる。ところが

『パラサイト』は韓国人による韓国語の作品だから、本来は本選の条件に合わない。

にも拘わらずグランプリに当たる作品賞を取ったのだから世界中が大騒ぎするのも無

理はない。FBでもヨーロッパやアメリカの知り合いが騒ぐ騒ぐ。私はと言えば、「既

にこの間のカンヌでグランプリを取っているからなぁ…あの時は大喜びしていたし…」

と、少々冷めている。どちらかと言うと、ドメスティックな映画賞である米国アカデ

ミー賞より、国際的な映画祭であるカンヌの方が、レベルが高いような気がするのだ。

いっそこれを契機にアメリカ映画界も内向きな姿勢を切り替えて、英語圏以外の映画

にももっと目を向けると良いのに…。思えばアメリカにはフランスのカンヌ、イタリ

アのベニス、ドイツのベルリンに当たる国際映画祭が無い。だから国際映画製作者連

盟が認める国際映画祭で、北米最大のものと言えば、カナダのモントリオール(今はト

ロントかな?)になってしまうのだ。映画大国なのにもったいない気がする。


それにしても、監督のポン・ジュノも父親役のソン・ガンホもデカイ!! 国際舞台に

出ても見劣りしないなぁ。


作品賞の発表場面の映像を待つうちに、この一年で亡くなった映画人の紹介映像が流

されていた。私の目は寧ろこちらに釘付けになる。フランス・ヌーヴェルヴァーグの

祖母アニエス・ヴァルダ、『雨に唄えば』の監督スタンリー・ドーネン、『ロミオと

ジュリエット』で黒髪のオリヴィア・ハッセーをジュリエットに抜擢したフランコ・

ゼフィレッリ監督、日本人では京マチ子、ゴダールのミューズ・アンナ・カリーナ、

103才でこの間亡くなったカーク・ダグラス…。素晴らしい映画を作り私たちを楽し

ませてくれた人々だ。亡くなったことでスポットが当たるのは悲しいけれど、ちゃん

と追悼することはとても大切なことだ。R.I.P.


『パラサイト 半地下の家族』
監督/ポン・ジュノ
脚本/ポン・ジュノ、ハン・チンウォン
音楽/チン・ジェイル
出演/ソン・ガンホ、イ・ソンギュン、チョ・ヨジョン、チェ・ウシク
2019年/韓国/カラー/132分


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