映画だ〜い好き 文は福原まゆみ
尾形映画プロデューサーの友人が仕切る映画制作会社で働く映画好き女史が
エッセーを連載してくれてます。
人々の笑顔や言葉で映画女史の半年の苦労は何かに変わったようです。
映画祭運営
半年かけて準備した映画祭の本番が、あっという間に終わった。
上映した映画は、劇映画、ドキュメンタリー、アニメーションと、多彩なジャンル
を揃え二日間で合計23本。短編映画祭なので短いものは5分、長くても30分以内
の映画ばかりだ。
なにしろ東京で開催するのは初めてで、映画祭経験のない人たちばかりで取り組ん
だため、本番が一体どうなる事やらドキドキハラハラの連続だった。映画祭がスタ
ートし会場の客入りを見ると、なんとほぼ満席となっている。そしてそのうち半数
が外国人だった。上映作品も半分外国作品だ。後で参加者の感想を聞くと、「日本
にも国際映画祭は沢山あるけど、こんなに本格的な国際映画祭はない」との嬉しい
コメント。出品者の嬉しそうな笑顔が、私たち主催者の笑顔も誘う。
ところが…、コメディ映画を上映していた時、絶対にあってはならない事が起こっ
た。爆笑シーンで映像がフリーズしてしまったのだ。暫くして動き出したものの、
リズムを崩して全く笑えない。折角とても面白いコメディだったのに…。観客にも
監督にも、あまりにも申し訳なくてこちらが泣きそうになった。
さて、どうしたものか。最善策はもう一度頭から映写することだろう。すぐに映写
担当に確認して、フリーズしないよう別の方法で再上映した。短編だからこそでき
たことだ。長編だったらきっと時間的に無理だっただろう。後で監督に平謝りする
と、心優しき監督は「僕の作品を二回上映してもらったのだから良かったです」と
神様みたいな事を言ってくださった。泣かせるなぁ。人間って単純なもので、この
一言でこの監督を一生応援し続けようと心に決めた。
今回の映画祭を通して、素晴らしい愛すべき映画人との繋がりが広がり、幸せな疲
れに浸っている。