1/7のしゅちょう 文は田島薫
(カルロス・ゴーンさんの毛布、について)
日産自動車への特別背任の疑いで東京拘置所に勾留されてるゴ−ンさん、拘置所に
暖房がなく、酷い寒さのため体調をくずしてるんで、余分の毛布をくれるよう再三
頼んでるのにもらえてない、って年末年始の報道があった。
日産から多額の報酬を詐取したり、資金の私的流用をした、ってことで逮捕されて
ることへの内外の受け止め方は違ってるようで、フランスでは日産の政治的な策略
の被害者だといった、ゴーンさんに同情的な感想も多いようなんだけど、わが国の
国民感情のほとんどは彼の巨額報酬や自己利益に執着した情報が細かく報道、強調
されてるせいか批判的なものが大勢のようだ。
われわれ庶民の感覚から言えば、数十億の年収を少し不正な操作で得てたと聴けば
強欲な悪者だ、って感じてしまうのはしかたないのかもしれないんだけど、公平に
見た時、法の網をくぐって違法にならないように、自己利益を追求したに過ぎない、
って見たなら、そうやってる企業経営者はわが国でもほとんどだろうから、だれが
それを批判できるだろう、ってことも言えるのだ。
とは言っても、勝手な法解釈で好き勝手に利益追求して会社に損害を与えた、って
ことなら、検証し糾弾することは必要だろう。
でも、国民感情がいくら批判的であっても、国家としてそれを検証途中のいわば、
単なる被疑者を勾留するのに、極寒の冬に国民の最下層でさえ持ってる暖房さえな
い部屋で毛布も十分に与えない、って処置は未開独裁国のそれだろう。
感情的に他人を糾弾するのは一般庶民の日常ではふつうのことでも、知性を基にで
きた文化国家であるはずのわが国の司法行政の形としては国際的に人道的批判が広
がることにもなるだろうし、早急に改善すべきだ。
リストラやら下請けカットで切り捨てられた人々の立場をあまり考えないならゴー
ンさんが倒産の危機にあった日産自動車を立て直したのは事実なんだし、世界の大
企業の社長報酬レベルで見たら特に法外な要求でもない、とも言えるのだし。