7/23のしゅちょう 文は田島薫
(安藤忠雄のすごさ、について)
世界的に有名な建築家である安藤忠雄さんを初めて知ったのは、住吉の長屋って、町
中の三軒長屋のまん中の一軒を切り取ってコンクリート打ちっぱなしの個人住宅の紹
介記事で、採光の窓の代わりに強引に中庭を作り、雨なら部屋を移る時傘をさす、っ
てような、そのシンプルで美しく大胆な設計に瞬時にファンになってしまった。
彼のプロフィールを見ると建築を学ぶのに大学へは行かず、独学でやった、ってよう
に、その独自性は自主思考と行動で一環したもののようだった。
その後、個人住宅群を経て次々シンプルでユニークな公共施設を創り続けてるわけな
んだけど、その独自性は建築の創作活動に留まらず、当人の身体にまで及んでるのだ。
2009年彼は、胆のう、胆管、十二指腸にがんが見つかり、すぐに全摘、5年後には、
膵臓と脾臓に再発し、これも全摘したそうで、結局5つも臓器がないのに、現在も精
力的に世界からの注文を受けた建築設計を続けてるのだ。
私の母は胃を全摘した後、膵臓がんも発症、手術不能と言われ半年ほどで他界しちゃ
ったんだけど、え、膵臓取っちゃっても生きられるの?って、だれでも感じるような
この驚きはなんなんだ、って考えると、われわれが普通常識と考えて、医者から、だ
めだ、って言われると、あ〜、だめなんだ、ってすぐに信じてしまい勝ちなところを、
限界を認めない彼の強い意志がだめそうな物事を乗り越えさせるのだ多分。
テレビのインタビューでも、彼自身が「諦めないことだ」って言ってたし。膵臓がな
ければ、定期的にインシュリンを入れればいいようだし、大事なのは食べることと運
動だ、って、医者の言うことをきちんと実行するんだ、と早食いだったのを、ゆっく
り何度もかんで食べるし、毎日1万歩歩くことを続けてるんだ、と。
こういったことがうまく行くためには、当人の意志が一番大きいにしても、医者の認
識が乏しかったりすれば難しいわけで、いい医者に出会う運や努力もいるんだろう。