映画だ〜い好き        文は福原まゆみ


尾形映画プロデューサーの友人が仕切る映画制作会社で働く映画好き女史が
エッセーを連載してくれることになりました。



映画三昧


先日、家の片づけをしていたら、学生時代の古いノートが出てきた。観た映画のタイ

トルと日付だけ記録した、極めてシンプルなものだった。

大体同じ日に2〜3本観ている。

当時はDVDがまだなく、ビデオデッキすら持っていない時代だったから、専ら二本立

ての名画座、二番館と呼ばれる劇場に通っていた。

池袋の文芸座、文芸地下、その間のル・ピリエ、銀座の並木座、西早稲田のACTミニ

シアター、高田馬場の早稲田松竹、三鷹文化にオスカー、飯田橋ギンレイホール…こ

のうち多くは閉館して久しい。


学生時代、一体一年にどれくらい観ていたのだろう。

数えてみると、1985年には270本。その前後も大体同じくらい観ていたようだ。

よく周りの人たちに「映画ばっかり観てないで、勉強しなさい」と諫められていたの

も無理はない。

だけど、それが私の勉強だったのだ。

この二年後、私は日芸映画学科を卒業した。


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