6/26のしゅちょう
            文は田島薫

忖度社会について


四国今治への獣医学部創設に関して、内閣からの強引な指示があったため、政治が曲げられ

たことを、証言したい、ってような文科省の元次官からの表明があり、先日テレビの番組表

にライブ中継があることが出てたんだけど、その時間に待機してると、始まって5分もしない

うちに、打ち切られ、女房の病死についての歌舞伎俳優の会見録画に代わった。

その闘病中だった元アナウンサーの女房の死については私もとても同情したもんだったんだ

けど、それはそれとして、とりあえず今もっとも注目の政治スキャンダルとも言うべきライ

ブの方を優先するのが報道の務めのはずだろう。それが前もった告知をけっこう大きくやっ

てた局が他局と同じに芸能人の話に右へならえした。多分、都議選の告示とも重なって、野

党側に立ったような表現にクレームがつくことを番組担当などが恐れたのかもしれない、自

民党からのそれが出ないように忖度したんだろう。

文科省の元次官の証言のテーマはもうすでにほぼ全容は報道されてて、内閣府からの圧力に

ついてのメールは文科省内で共有されてたことがわかったのに、内閣府の方はそういったこ

とを言ってない、ってとぼけてるので、具体的な経緯を話して内閣府のウソをより明確にし、

国民らによりそれを事実として認識してもらおう、といった意図だったはずだ。

それにしても、証拠としての文書は、内閣府が書いたものではなく、口頭によるものを文科

省職員が書き取ったもののようだから、証拠としては弱いところがあるんで、内閣府も安心

してる部分があるのだろう。

いずれにしても、認可権は文科省にあったはずなんで、正式な文書でもない要請は無視して

もいいはずなのに、内閣府の意向を忖度した責任は文科省にもあるのだ。

一般の関係識者の見解を調べてみると、内閣府からの要請に需要見通しなどを提出しないで

のらりくらりと、規制緩和に反対して関係する既得権益を守った、って批判もあるようだけ

ど、それについては直接関係もある農水相の責任も同じわけで、けっきょく、緊急の需要要

請もないようなテーマの医学部創設には、調査もなにもその必要性自体が問題にされてなか

ったようなものが、首相の友だち関係が創設希望してるから、って疑われるような雰囲気を

作り、省庁の忖度を首相が誘導したと見られてもしょうがない事実があるのだ。

関係識者も内閣府の言動は法的に問題ない、などと内閣府に好意的に見られるように忖度し

ないで、きちんと批判すべきだし、国会なら、はっきり内閣府にさえ制度的縛りを作って行

くのが議員の仕事なんだけど、その与党議員たちも波風立てないように首相に忖度ばっかり

してるこの国の未来はこのまま行くんで大丈夫なわけはないのだ。




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