●連載
虚言・実言 文は一葉もどき
横浜が縄張りの元タウン誌ライター。
貧しさにもめげず言の葉を探求し、人呼んで“濱の一葉”。
ウソ半分、ホント半分の身辺雑記を綴ります。
もどきさんが参加してるグループ展で感じることなど。
展覧会の客 1
恒例の“なかよし・こよし”の展覧会である。
わざわざ足を運んで見に来てくれる客は出展者の家族・友達・知り合いが殆どなので
“なかよしこよし”の場なのだ。
大体は義理や社交でくるのだし、絵の評価はお世辞半分だと分かっていても、出展者
にとっては、普段コツコツと描いた絵を晴れて人様の目に触れるハレの日だ。
発表してこそ描いた甲斐があるというもの。中には思いもかけない批評をきけて、な
るほどと目からうろこのこともある。
さらに壁一面に普段は会わない仲間の絵と見比べると自分のレベルが一目瞭然。がっ
くりしたり、どや顔になったり、競争心も煽られて刺激される。
もう一つ、この展覧会の良いことがある。
それは会場のロケーションによるものだ。
二俣川駅ビルの5階にあり、ギャラリーの前が旭区のイベントホールになっているの
で、イベントの前後にその観客がギャラリーに流れてくることがあるのだ。
また買い物客がちょっと覗いてみるか、とふらりと立ち寄ってくれる。
お蔭で10人前後の出展者のこじんまりとした展覧会にしては入場者数が多い。
大体そうした気まぐれ客の関心を呼ぶ絵は、直感的に分かりやすいかまたは奇抜なも
ののようだ。
だが、この現象を素人好み、とバカにしてはいけない。
やはり、良い絵には普遍性があるものだと思いたい。
個性と普遍性。
なかなかこれが難しい。
数ある描いた絵の中でどの絵を出展するかを考えたとき、客層を考慮するか、客層に
頓着なく自分の気に入った絵を出すか、迷う。
大きな美術団体に号数の大きな絵を出して競うのならいざ知らず、まだ趣味の域を出
ない素人のグループだ。なんでもアリとは言っても独りよがりにならずバランスをと
りたい。
自分はこう描きたい、と思っても技術が伴わないことが殆どなのだけれど、少しでも
納得できるようになるには、常連客の評価も欠かせない。
素人のこうしたグループ展は続けることで成長していくようだ。