2/13のしゅちょう
            文は田島薫

(親愛、について


イラクやシリアなどからの入国規制やメキシコ国境に壁を作る意欲などを各方面から批判さ

れて国際世論から孤立してるようにも見えるトランプ新大統領に、安倍首相は会見し笑顔の

抱擁したりゴルフや複数の食事を共にして親愛関係をアピールしたんだけど、具体的な政策

についての話合いはなかったようで、大統領へのただの日本側のおべっかだ、って評価が、

大方の見方なのかもしれない。

それぞれの政治的戦略もあっての外交ポーズだ、って面は確かにあるはずだし、呑気に仲が

いいのは悪くない、って言って済ませるほど世界情勢は単純なもんじゃないはずなんだけど、

双方に批判的な私でさえ、そのふたりの表情に何か純粋な善意のようなものを感じてしまっ

たのは気の迷いか認識の甘さだ、ってことになるのかもしれない。

どんな残酷な専制政治をする独裁者にも人間的な優しさはあるはずで、もしそれが素直な理

想的な形で表現できたなら世界はより平和なものになるんだろうけど。

多分、今回の双方にはそれなりの善意があり、窮状の自国民を見たならそれを救いたい、っ

て気持は純粋で本当なんだろうと思う。ただ、だれでも個々の経験や認識には、どうしても

不足の部分があり、なにかの価値観や目的を意識した時に、理想としては違うけど、今の段

階ではこれぐらいの犠牲は仕方ないことなのだ、って調子で色々な人々の都合などを考慮す

る余裕がなくなる、ってことなんだろう。

今まで嫌いだった人同士が実際に会って、それぞれの考え方なり都合などを理解し合ったら、

友だちのような関係になってしまった、って話はよく聞くわけで、だったら、世界じゅうの

主脳たちがあらゆる国の主脳とそういった会見に励めばいいと思うわけで。

それでも利害が対立している関係だと、どうしてもおたがい喧嘩腰、ってことになるわけで、

その利害を公平に見つめ合い、それぞれが妥協点を見い出す可能性はいつもあるんだ、って

ことをおたがいが信じられれば、どんな関係でも親愛的になれるはずなのだ。

すでに利害が一致してておたがいに利用価値を認めてる関係で思いきりの親愛感を示しても、

それは世界平和にとってそれほど大した発展材料にはならないだろうけど、その無邪気なぐ

らいの親愛感は尊いものと自覚し、それを一見敵に見える国や組織の主脳にも広げることが、

もし、安倍さんやトランプさんにできたなら世界はもっとよくなるだろう。

長年われわれの国側から敵視されていた、北朝鮮の前主脳キムジョンイルさんは、フーテン

の寅さんが活躍する映画「男はつらいよ」が大好きだったそうだ。




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