1/30のしゅちょう
            文は田島薫

(正義の空回り、について


スーダンかどっかの多くの難民が粗末なテント村のようなところで寒空にコートもなく立ち

すくみ、充分な食べ物もこれ以上の暖をとる方法もないのに助けも来ない、って言ってるの

を、テレビで見たわれわれは、なんとかしてやりたい、って思うとこだけど、危険な現地へ

の国連の支援も充分に行えないようなことがシリアその他でも頻発してる様子だ。

どういうわけかたいていいつも物資も充分には足りてないようで、以前、ルワンダだったか

パレスチナだったか難民の状況を見た建築家の坂茂さんは、彼らのために圧縮した紙筒で作

った仮設住宅の提供を国連に申し出てそれを実現し、そういった活動を続けているらしい。

そういうボランティア活動をする人々が多くいる一方、そういった難民が生まれる根元であ

る紛争に武力介入してはより問題を大きくしているように見える米国やらロシアの乱暴な政

策が野放しのまま、さほど批判の対象にされてないばかりか、平和主義憲法をかかげるわが

国の自民政権などは、その立場を最大限利用しどんどん和平交渉に動けばいいものを、そん

な米国の武力政策に実質的により加担する方向に行ってることは、本来の使命を放棄した無

策の政治だ、と言わざるおえないだろう。

とにかく、現実的に武力紛争が行われてる限り難民問題は解決しないのだし、武力で一気に

敵をせん滅すれば戦争は終わる、って言って、さっさと終結した戦争はほとんどないのだ。

敵のせん滅と謳い武力攻撃された側から見たら、正義の志し持った仲間やその家族が殺され

ることだったり、どちらの側にも属さないただの市民たちだって、その攻撃で家族が殺され

たなら、それへの正義の仕返しを、と考えテロ組織に加わることもあるだろう。

戦争に正義はどちらの側にもないのに、大国の方はそれを自国の都合で簡単に考えて、気楽

に軍事攻撃する傾向があるのを、だれかが止める必要があるだろう。

今、批判が集中してるトランプ大統領に、なんとか誉められる点があるとすれば、その軍事

優先活動そのものの無益をとりあえずにしても強調してるところだろう。

難民を受け入れないとか、他国に介入しないとか、自国の利益のことばかりしか考えてない

のかも知れないんだけども、とりあえず軍事紛争を無くすことに政策を集中できるのであれ

ば、順次犠牲者や不幸な難民もいなくなるわけだし、いい方向に行ける可能性はあるのだ。

正義を謳うばかりで軍事活動やってれば、戦争は永遠に終わらないわけで、個人の善意ボラ

ンティアが砂漠に水をまくようなものになるんじゃ空しいだろう。




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