9/26のしゅちょう
            文は田島薫

再び食養、について


今や日本人の寿命も伸びて、昔なら60才も過ぎたら死ぬのもごく普通のことだったのに、

80才過ぎまで生きる人の方が多くて、目出たいことなんだけど、その老人たちの実態をよ

く調べると、たいていはいくつか病気をかかえ病院通いして薬を飲み続けてる形が多そう

で。それでも、がんばって自力で日常生活を送ってる者はまだ幸いで、長い間病床で寝た

ままいろんな薬飲んじゃ時間を過ごしてる者も多いわけで、それだといくら長生きしても

多分当人はあんまりうれしくはないだろう。

できるだけ医者にかからずに自力で元気に過ごせたらそれに越したことはないはずで、そ

のために重要なのは、当然のことながら、ふだんから体の機能を十全に働かせるための材

料を体に供給してやる必要があるわけで。バランスのよい食事に運動に心の安定、って、

わかりきったようなことが、実際はいい加減になりがちなのは、それらをあまり考えない

でてきとーな生活してても、さほど支障もなく元気に過ごせる感じをだれもが経験してる

からなのだ、若いうちは。

ある人体生理学者が、人は52才ぐらいまでは食生活などどんな乱暴な生活してても、体の

免疫機能のようなもんがなんとか働いて無事に生きることはできるんだけど、その後はガ

タガタと支障が出て来ることの方が多い、って。

だから、できれば若い時からが理想だけど年とって多少手後れでも、きちんと食生活考え

て行けば健康増進も可能なのだ。たとえば、平均寿命が短かった長野県が減塩やたんぱく

質摂取や運動を老人に勧める運動をしたところ全国1〜2の長寿県になったとか。

バランスのいい食事、たんぱく質、って聞いて、自分は肉が大好きで、いっしょに野菜だ

って食うし、って言ってキャベツの葉の1〜2枚食って安心しててもだめで、老人に健康的

な免疫力をつけるにも、必要量ってもんがあって、テレビなどの食レポのような一般的な

外食のバランスが普通だと思ってそんな食事ばかり続けてると必ず病気になるのだ。

バーナードショーは、命を縮めたいならわけはない、ステーキでも食えばいい、でも自分

にはあいにく動物の死体を食う趣味はない、って(ちょっと言い過ぎかも)。

私もずっと愛読してる「養生訓」の貝原益軒は、平均寿命が50才以下だったころ80才ぐ

らいまで生きたんだけど、その食の選択の仕方などを微に入り細に入り教えてて、多分興

味のない者にとっちゃうるさいこと言ってる変人がいたもんだ、ですまされちゃうかも。




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