4/4のしゅちょう
            文は田島薫

清貧の政治思想、について


先日の新聞コラムに前ウルグアイ大統領のムカヒさんが紹介されてて、これはた

びたびいろんな人の口から言われてるようなことではあるんだけど、当人のシン

プルな生活実感に共感したもんで概略をご紹介。

大統領当時、公邸に引越しをしなかった理由を、自分は元々農民の生まれで自然

が大好き、4階建ての豪邸で使用人30人に囲まれて暮らすのはまっぴらだ、って。

「世界でいちばん貧しい大統領のスピーチ」って日本で絵本になってるらしいん

だけど、そこで言ってるのは、このまま大量消費と資源の浪費を続け地球を攻撃

していては地球がもたない、質素な生き方に変えよう、って。

世界で一番貧しい、って称号について、それはみんなの誤解だ、と、自分が思う

貧しい人とは限りない欲を持ち、モノがいくらあっても満足しない人のことだ、

自分は少しのモノで満足して生きてる。質素なだけで、貧しくはない、と。

モノを買うとき、人はカネで買ってるように思うだろうけど、けっきょく、カネ

を稼ぐために働いた時間で買ってるんだ、と。てきとうにしないと、ちゃんと生

きるための人生の残り時間がなくなってしまう、と。

軍政時代14年もの間投獄されてた時に生きることの奇蹟を見た、と。それは、独

房で寝る夜のつらい日々も「人はよりよい世界をつくることができる」という希

望があったからマット1枚あるだけで満ち足りた、と。で、人は独りでは生きて

いけない、「愛する」人々と過ごす時間が生きるということだ、と。また、逆に

人々が集まった熱狂は危ない、と。左であれ右であれ宗教であれ狂信は必ず異質

なものへの憎しみを生む。憎しみの上に善きものは決して築けない。異なるもの

に寛容であって初めて人は幸せに生きることができるんだ、と。その上で富の異

常な格差をつくる政治は、公平な分配という本来の仕事をしてないんだ、と。


ご感想は題を「しゅちょう感想」と書いてこちらへ(今号中か次号に掲載)




戻る