5/4のしゅちょう
            文は田島薫

(戦争をなくす方法について 15)


安倍首相は訪米し米議会両議院で演説し、日米同盟による積極的平和主義の推進、ってよ

うなことを強調して、最後にキャロルキングの歌を引用し、米国はわが国の最悪の時、東

日本大震災の時だ、って言うんだけど、助けに来てくれたから、友達だ、って言って、な

んだか自分でも酔ってる風情で。

こういった表現はわれわれ庶民の間でもよくされる、ちょっとした洒落のような言わば、

人間関係を円滑にする害のないお世辞、といったような話術だと思うんだけど。

ここには、人の善意、ってものに注目してそれを最大に評価したい、って悪くない思いが

あるはずなんで否定することはないんだけど、一国のリーダーが、他国の最高機関の人々

に対してこんな情緒的なフィクションを披露するのはどうなんだろう。

これが、非公式のお祭りやクリスマスパーティのような余興的演説なら洒落で通じるかも

しれないし、実際に友情も感じられるかもしれないんだけど、

戦闘状況にある世界への役割を表明する場でのこういった情緒的表現には知らずに別の意

味が強調されてしまうことに安倍首相は気づいているんだろうか、気づいていながらそれ

をしたのだろうか、どちらにしても危険であることに変わりはないんだけど。

それはどういう危険かと言うと、なにもなかったところに「わざわざ敵を作り出す」、っ

てことだ。

東日本大震災に同情を寄せたのは世界じゅうの人々であって、安倍首相が言うような、米

国だけが、ではないのだ。

善意や友情はどこの国だろうがどこの民族だろうが持ってるものであって、わが国はそれ

を持ち合わせてる米国とだけ友情を感じ同盟を結んで軍事協力して行く、ってメッセージ

を世界に発信することがどういう効果を世界に生むというのだ。

それは多分、安倍首相には、自明のことで、民主主義の正しい国米国が、テロを起こすよ

うな悪事の組織に武力攻撃するような時はそれを支持し、後方から支援するんだ、って、

軍事力の強大な米国が最大の力を発揮するんだから、悪事を起こさないように気をつけて

くれ、って脅かし、ってことなのかもしれない。

ところが、正義の国なんてどこにもないんであって、米国が正義だなんてだれにも証明も

できないし、米国こそが悪事の国だと思ってる国や組織はいくらでも世界にあり、けっき

ょく、武力でおどせば、そのまま反発が強くなるだけなのだ。

いつもどこでも過去の戦争は正義と自衛のためだけに武力を使う、って表現で起きたのだ

から、わが国民は、是非とも集団的自衛権を廃案にし憲法9条改変を阻止して中立平和主

義の国に戻して、和平交渉役に徹することこそほんとの積極的平和主義なのだ。




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