11/16のしゅちょう
            文は田島薫

(テロをなくすこと、について)


パリの中心部でIS同志によるとみられるテロがあり120人以上の死者と数百人の負傷者

が出てメディアは大騒ぎしてるんだけど、それについての人々の感想やコメントを聞い

てると、現場に居合わせた人々の感想は恐怖や悲哀や混乱を切実に訴えていた。

一方、各国の大統領などのコメントは、やはり客観的に状況への具体的対応への決意を

述べるのが主題になるのは仕方ないんだけど、それにくらべ、わが国の首相はテロ事件

に対してすぐ安易に「非道な」って言葉を使いたがる傾向があるように見える。

今回の120人余が殺されたテロが非道であることは違いないかもしれないんだけど、そ

れをもし言いたいんであるなら、シリアなどに空爆して通算10万〜20万人を殺してる米

軍とそれを支持してる日本政府の行動は非道ではない、って言えるのかどうか。

とりあえずの国際ルールを無視した武装集団が都市を武力占拠して殺される市民がいる

からその集団を排除する目的のためだから非道ではない、って言うのかもしれないんだ

けど、例えばISの目的は自分たちのアイデンティティを満たす国家建設であって、一般

市民の殺りくが目的のはずはないのだから、少し乱暴な意見に聞こえたとしても、ISな

どの行動を少し静観してみて、平和的対処を誘導する努力も必要なのだ。

それをしないで、頭から邪悪な非道組織と決めつけて、だれかまわずそれを疑った対象

は空爆してしまう、って言うんでは一般市民の犠牲者の方が多く出てしまうだろう。こ

ういった結果の殺りくは毎日行われてるわけで、そういったニュースはほとんど報道さ

れてないという不均衡があって、ISにはこれへの抗議目的もあるはずなのだ。

フランス政府は今回のテロの報復として、ISの武器庫や中枢と「みられる」場所を空爆

した、って言ってるんだけど、こういった安易な空爆こそが問題なのだ。

例えば近くにISが進駐してきたとして、逃げる人々と多分逃げない人々もいて、なんと

かISと平和的にやれそうだから妥協してやって行こう、って思ってたところへ、無差別

爆弾が落ちて来たとしたら、これだって、テロ以外のもんではないだろう。

あくまで警察的な正義をかざして空爆をしたいなら、一般市民に危害が及ばない徹底し

た備えをした上で、その犯罪性なりを具体的に指摘してその責任者と居場所を厳密に特

定し、犯罪行動の停止や武装解除なりの要求や警告を公表した上でその言い分や反応を

待った後、国連や国際裁判による判断を提示して再度交渉、それでもだめな時、間違い

のないピンポイント攻撃の精度が保証される場合だけ空爆する、ってぐらいがいい。




戻る