10/5のしゅちょう
            文は田島薫

(乱発空爆の無効性について)


シリアで米軍を中心にした空爆が続行中で、それにヨーロッパやロシアまで参加し出し

たんだけど、それによって難民の数が減ってるどころか急増してるんじゃないか、って、

状況で、先日はアフガンで国境なき医師団の医療施設がやはり米軍の空爆による誤爆で

破壊され2〜30人の民間人が死んだ。

過激狂暴化してるように見えるシリアのISやアフガンのタリバンを悪としてせん滅させ

よう、って作戦は、明解でわかりやすそうに見えるし、それでいいんじゃないの、って、

安全な場所にいて対岸の火を見てる感覚のわれわれは支持したい気にもなる。

かつてのカンボジアのポルポトのように独裁的に断罪した市民をどんどん処刑してしま

うような組織を野放しにしてたら悲劇が拡大する一方だ、って恐れだってあるから、そ

れをただ見てるだけ、ってわけにもいかないだろう。

武力で各都市や地域を制圧して行こうとする中世的発想の組織に、反対する側が武力攻

撃の用意もなしに、外から、そういうことは人道に反するから止めなさい、ってただ言

ってるだけでも効果はないのかもしれない。

しかし、だったら、もうせん滅作戦で行くしかない、って組織と見える怪しい場所はも

うどんどん空爆で、って、がん細胞の転移を恐れる医者の手術のようにやってたらうま

くいくだろうか。

ベトナムでもパレスチナでもイラクでも膨大な数の一般市民が殺りくされた米国のやり

方でよかった、って思ってる人はどれだけいてそれはどんな人々なんだろう。

残忍に見えるISやタリバンにも、彼らなりの正義と秩序と価値観はあるわけで、残忍だ、

って批判する米国はどれだけ残忍なことをしてきたかを見れば、お互いさまなのだ。

戦闘状態が続けば、残忍行為も必要悪に感じる状況も出てくるはずで、もう、そういっ

た戦争状態にすること自体が間違いなのだ。

じゃ、ISなどに占領されそうになった時に反撃しない方がいいのか、って言ったら、そ

の方がいいとした上、国連に救助を求めれば国連軍が緊急発動し、国際ルールに基づい

て調停する機構を創るだとかして、場合によっては占領側の意志を尊重して、とりあえ

ずの占領を認めた上での国民投票をさせて、成りゆきの管理するとか。

すでに各地を占領したり奪還されたりで、切羽詰まり全滅か成功かどっちかしかない、

って命がけになってる組織に、せん滅しかない、ってやって一時的に終わりそうに見え

たとしても恨みを増幅しあう切りのない戦争を続け犠牲者を増やすより、できるものな

ら逃げ道があれば、って考えてるかもしれないリーダーにその逃げ道を与えるとか、も

っと真正面から相手の理解を深め、敬意を持って和平案を提示するとか、といった努力

をもっとどんどん積極的にしてった方がよっぽどいいのだ。




戻る