5/19のしゅちょう 文は田島薫
(集団的自衛権について 3 )
集団的自衛権の必要性についての「説明」を安倍首相がしたんだけど、相変わらず子供
だましのような喩え話を出して説得できてるつもりのようで、国民を幼児と同じような
もんだと考えてるのか、または、もしほんとにそれで首相自身が納得できてるんだとし
たら、なんらかの彼の思い込みの強さが理性を失わせてる、ってことになる。
昨日も、安倍首相のブレーンと思われる老人が女性キャスターからのテレビインタビュ
ーを受けてたんだけど、個別的自衛権では不足で集団的自衛権がなければならない具体
的状況、ってものはどういったもんだ、って質問に対し、あんたには助けてもらうけど、
私はあんたを助けない、って状況でいいのか、って、けっきょく、こういった単純な道
義心のような喩えをくり返すだけだった。
具体的状況設定もなしに、これをどう思う?って聞けば、そりゃ助けてもらうんなら、
助けることもしなきゃ人間としてだめだろ、ってほとんどの人は思うだろう。
しかし、実際にはこの喩えは、それこそ、息子のオレを助けないのか、ってような、お
れおれサギと同じような、危険なまやかしに過ぎないのだ。
安倍首相などが一番懸念してる日本近海での韓国や北朝鮮や中国との紛争については、
日本近海の平和は米国にとっても必要なはずで、一方的に米国に助けてもらってるだけ、
って状況ではなく共通の軍事協力関係が日米同盟であるけど、日本近海でそれらの国か
ら米軍が攻撃されててその米軍を自衛隊が助ける、なんて状況はまずないし、万が一あ
ったと仮定しても、それはわが国の領海近くでの自衛隊がかかわる戦闘になるわけだし、
反撃するのに個別的自衛権で間に合うのだ。
ありえない状況をさもありうるように思い込んだり思い込ませようとして、道義心に訴
えるような姑息な手に素朴に乗ってしまった後に残るのは、取りかえしのできない悲劇、
ってパターンが前回の戦争だったはずなのに、その理性が危機に瀕している。
安倍政権の主張に百歩譲り精一杯好意的に解釈したとすれば:軍事同盟、って古典的な
もののルールは相互協力、共同して敵に当る、ってことだから、もし、米国が先年のイ
ラク攻撃のようなことを始めたら軍事参加するのが、普通の国のすること、これは平和
憲法9条のある日本以外のどこの国でもやってる常識的なことだ、日本も9条を変えても
っと常識的な国の仲間入りしようじゃないか、ってことになるだろう。
もちろん、安倍首相は戦争参加はしない、って言い、集団的自衛権はただ抑止力を増す
目的だけだ、これによって平和が守られるのだ、って言うんだけど、戦争はしないけど、
敵国からの攻撃の可能性がある場合はこっちから攻撃してもそれは自衛のため、ってこ
とになる、って言って始めた米国のベトナム戦争やイラク戦争の失敗、それらに対する
米国に対するアラブ世界などからの反感、といったことについての総括もできない政権
の意志で自ら米国の「手下」になることを世界に表明するジョーシキテキな国になるこ
とと、9条を守って世界平和を訴えるヒジョーシキな国になることとどっちが世界平和
のためになりそうかわれわれ国民はみんなで考えた方がいいのだ。
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