4/21のしゅちょう 文は田島薫
(韓国客船沈没について)
韓国沿岸で当国の修学旅行生を乗せた客船が沈没し、百何十人は救助されたものの残
りの2百何十人もの人々が丸4日経った今も水の中にいる。
最初ニュースが伝えられた時の映像は船が横倒しに浮いてる周りで、ライフジャケッ
トつけた乗客2〜30人が何艘かの小舟に乗せられて脱出してる映像だった。事態の緊
急性から見たら、もっと、大勢の救助艇なり人員が船に群がってるのが普通のように
思うんだけど、画面からのひっそり感に、非常な違和感を感じた。
翌日になると、船は上部がより水に沈んだものの、まだ船体の半分は海上に出てる。
日本は助けに行けないのか、って私は首相官邸にメールもしたんだけど、どうも、韓
国の方で提案を断ってたらしい。韓国当局では船を持ち上げるクレーン船を現場に向
かわせてらしいが到着がさらに翌日になるそうだった。沿岸に集まって来ていた遭難
者の家族たちは始めは余裕の笑顔まであったのが、だんだん焦りを感じ、なにをやっ
てるんだ、早く息子たちを助けろ、って騒ぎ出す。
また翌日にはもう船は船体全体を海中に沈め、ダイバーたちがもぐっては、視界はわ
るいは海流が早いはで作業ができない、って言ってるばっかり。
これは、どう考えても、初動行動の失敗だっただろう。時間が経てば経つほど状況が
悪くなるのはわかってたはずなのに、ひょっとしたら、ずっと船体が浮いててくれて、
そこへクレ−ン船が到着船体を海上に持ち上げて全面解決、って夢に期待してたのか
もしれないんだけど、こういう状況の時は常に最悪の事態を想定して先手を打つのが
常識なのだ。船が横倒しになった時、乗り組み員は、生徒たちに、その場を動かない
ように、と指示を出したらしいから、生徒たちはそれを信じてじっと部屋で動かず救
助を待っていたのだろう。だんだん、ドアのすき間から水が入って来る。これは危な
いんじゃないか、って、ドアを開けようとすると、もうすでに水圧でそれが開かない。
そのころ乗り組み員たちは自分たちだけ脱出していたのだ。救命ボートも全く使われ
ないまま、乗務員の言葉を信じて不安の中で待った末に、部屋に閉じ込められたまま
水が満ちて来るのをどうしようもなかった生徒たちや親たちの無念さはどうだろう。
なんで、こんなばかげたことになるのだ。
けっきょく、船会社の危機管理のマニュアルがきちんとできてなかった、ってことだ
ろう。人の命を預かる、ってことはそれらをきちんと責任を持って保障する、ってこ
となのだから、業者はそれを徹底すべきだし、われわれとしてはそれができてないよ
うな業者は、あらゆる営業姿勢などをチェックして排除して、そういったところに命
を託すのは避けた方がいいのだ。そんなことしてても、いつのまにか妙な状況になっ
てしまった場合、なんだか怪しいと感じたら、例えば、じっとしてろ、って言われて
もその通りにしてていいかどうか決める権利は、けっきょく「自分」にあるのだ、っ
てことはいつも忘れない方がいいのだ。
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