12/1のしゅちょう
            文は田島薫

(世界の不均衡について 3


安倍自民党はアベノミクスで景気が上向いてる、って主張して、衆議院選挙でも十

分な得票を得て国民の信認を受けたということで、更なる独善政策に邁進するつも

りのようだから、われわれはその気分に乗せられては危険なのだ。

大企業の利益が上がったり株の値上がりすれば景気が上昇したことになり、すべて

順調、って安倍さんは言ってるんだけど、儲けて所得が増えたり安定してるのは一

部の企業に過ぎず、大多数の中小零細企業や個人事業者などから、増え続ける非正

規雇用社員などは、まさに最低賃金の時給900円程度の所得で喘いでいるのが現実

なのに、ぼんぼん育ちの安倍さんを筆頭とした自民党には、そんなことがさっぱり

わかってないようなのだ。わかってても、それぞれの自助努力でなんとでもなるは

ずだ、例えば、貧困から身を起こした大起業家など沢山いるではないか、って言い

たいのかもしれない。

たしかに今でも、ITのベンチャーや新しい発想の事業で成功してる若者も多くいる

のは事実だろうけど、そうなれる人物にはそれなりのめぐまれた環境があったはず

なのだ、貧困の中でアルバイトをしながら睡眠時間をけずり成績を上げ、奨学金で

大学を出て大企業に就職した者もいるかもしれないけど、貧困のレベル、ってもの

は切りがないもので、例えば両親が病気でそれを養う子供がいたとしたらその子供

は奨学金を利用しての進学さえ無理だろう。

現実的には、医療費や学費が無料、って国がある一方、わが国では、馬鹿げた額の

学費が請求されるもんだから、安定した大企業や公務員の家庭でさえ、2〜3人の

子供や病身の親がいればその出費に負担を感じるはずなのに、彼らの所得にはるか

に届かない人々はハナから子供の大学進学をあきらめるか、両親の尋常じゃない残

業や余分のアルバイトでそれをまかなわなくてはならないのだ。

最低賃金しかもらえない非正規雇用の若者が増えれば、将来、その子供を大学にや

れないどころか、子供をつくって育てることさえ難しく、更に結婚さえあきらめる

者も増えていくだろう。

目先の経済成長の数字だけを大事にするのではなくて、ワークシェアリングで少し

働き過ぎをみんなで控えても生活に不安がないほんとの国民の福祉の実現、ってこ

とにしっかり目をむけた政策を優先することによる、国民全体が活き活きできる経

済構造を創設するのか、それとも、二分化した格差社会の一部だけのための原発や

軍事産業推進するような経済活動が将来的に国のためになるのかどうか、これは日

本と世界との関係についても同じなのだ。




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