8/5のしゅちょう             文は田島薫

傲慢ジョークの危険について

人はだれでもたいていは日常生活を楽しく過ごしたい、って思ってるはずで、けっこう困

難な状況が続く時なんかに、気のきいたジョークで笑ったりできたら心の救いになること

も多いんだろうけど、これが、それを言う方がそういったことをいくら目的にしたつもり

でも、ふだん自分が考えてる偏見も知らずに表現されてしまうわけで、大げさだけど世界

認識や状況の配慮を欠くと失敗することがあるのだ。

それでも、社会的弱者があまりのつらさに、権力者などをコケにしたりするような場合は

罪はないと思うんだけど、これが、不安定な権力構造の社会だと、徹底的に処罰されるこ

ともあるから、弱者のジョークはどっか命がけのところがあるのかもしれない。

これに比べ、権力者のジョークは甘やかされることが多いわけで、おもしろくないジョー

クでもとりまきが大げさに笑って見せたりするもんで、ますます冗長して、自分はなんて

ユーモアセンスのある人物なんだ、て勘違いしてしまうことも多い。

だから、部下を持ったこともあるオヤジたちはよく気をつけて、笑ってもらえた時は、や

〜君たちぼくの下らないオヤジギャグに反応してくれてどうもありがとう、って感謝すべ

きだし、自分はおもしろいギャグだと思ってるけど、部下の女子の体をいじったセクハラ

んなってないか、だれか個人の気持ちを傷つけてないか、って考えた方がいいのだ。

で、本題は先日の麻生議員の「国民が知らぬ間に憲法を変えたナチスを見習ったらどうか」

発言について。

さすが漫画を沢山愛読してるだけある麻生さんのブラックジョーク、って見るとなかなか

のレベルで、当人も、や〜自分はなかなかおもしろいな〜、って感じてたんだろうけど、

これは現実とフィクションと混同する若者の犯罪なんかに共通する退行現象の現れなのだ。

ナンセンスギャグの漫画なんかの中で、悪者がとんでもないこと言うんなら、あまりの無

責任さに思わず笑っちゃうこともあるんだけど、一国の将来を託された政党の幹部がそれ

を言った時、「そのあまりの無責任さに笑う」ってことは現実の人々には無理だろう。

当人がそれをギャグだと言うなら、どう言う意図を持ったギャグなんだ、ってことだ。だ

って、衆議院も参議院も過半数取った自民党が、これで「ねじれ国会」も解消してなんで

も自分たちの思い通りに決められる、って喜んでて、憲法だって戦争できる国に変えよう、

としてる時に、それをもっと助長することを言ったのは、あまりわれわれ自民党も調子に

乗り過ぎないようにしよう、ってことで、だとか?どうしても無理があるだろう。そこま

で考えたわけじゃない、ただ自分等に好都合なブラックジョークってことだろう。ナチス

を肯定するような無責任さに海外が大騒ぎするのも当然だろう。

多分、麻生さん憲法改正しても、自分たちはナチスとは違う、って信じてるのかもしれな

いんだけど、自分たちは正しい、って妄信で、独断先行し、自分たちの決定権はより拡大

させ、国民のしばりはよりきつく、って制度を固めるエスカレートがナチスにまで行って

しまった行程と、今の自民党は似てる、って自覚がもっと必要なのだ。




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