3/11のしゅちょう             文は田島薫

独断と迎合について

私が今読んでる中島なんとかさんの哲学読本。その人に迎合しない考え方や態度がなる

ほど、っておもしろくて何冊も彼の本愛読してるんだけど、けっこういい加減だなあ、

って感じることも多く、それも好きな理由のひとつになってるような気もするし、で、

好きだといったことをもし彼の前で言ったとしても決して喜びはしないのだけど。

彼はみんないっしょに仲良く、っていった教育の仕方がだいきらいで、人それぞれいろ

んな性格や趣味や傾向があるんだから、それを尊重すべきだ、ってひとりぼっちが好き

な子には無理矢理みんなといっしょにさせることはないし、嫌いな給食も残させればい

い、っていった考えで、自分もそういったお仕着せに怒りつづけた子供だった、って。

彼が講演なんか行くと、いかにも親し気に話し掛けてくるような関係者の女性に、きっ

ぱり、やめてくれ迷惑だ、って言うような人なのだ。

たしかに、テレビで聞いたふうな世相話を長々やられたり、心にもないお世辞を並べ立

てたりされたりばかりのつきあいは、だれでも本当は好きじゃないだろう。

きらいなもんはきらいだ、ってきっぱり言う方が言われた方もすっきりすることも多そ

うな気がする。

ま、とにかく彼は自分を、ならずもの、って規定してそれを他人にアピールする生き方

をしてるらしいんだけど、哲学者ってことでそれが本になり面白がる人もいてうまくい

ってるようだけど、これがふつうの勤め人の場合だと、そうはうまく行かずに苦労する

ことになるだろう。

ま、問題提起する役割と考えればそれでいい、ってことなんだろう。

で、先日読んで、おいおい、っておもしろかったのは、彼が電車乗ってるとすぐ目の前

で化粧してる若い女性がいたんで、やめろ、ってはっきり言ってやったところ、彼女は

それを無視して手入れを続けたもんで、どうしよう、って考えた彼は携帯があったこと

に気がつき、その彼女の行為を何度も写真に撮ったんだって、これで彼女は自分の行為

の醜さを自覚するだろう、って、だまってる他の客たちも彼の一連の行為を支持してる

はずだ、って、その後でおたがい押したりひっぱたりの小競り合いがあったんだけど、

大事にはならず、家帰って彼が写真確認したら、どのカットもぶれた車両の天井と床し

か写ってなかった、って、けっきょく動揺がはげしかったんだって自己分析してた。

しかし、これをよく考えてみたら、ずいぶん彼の行為に考え方の矛盾があるんじゃない

かって思ったのだ。だって、電車の中の化粧がいけない、ってのは一般の慣習からみた

常識であって、それが人にどれほどの迷惑がかかるのか、って疑問があるし、それを他

の客は全員迷惑と考えてるはず、って思うのは独断に迎合がいっしょになってるんじゃ

ないのかな、と、大の大人が興奮してやることか?、って、だからおもしろいけど。




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