4/2のしゅちょう             文は田島薫

(アンチエイジングについて)

世の中アンチエイジング運動大流行。大多数の老若男女が実年齢より若く見られるこ

とを喜びにして、そうなるように努力してるようだ。

たしかに、年をとって心身が衰弱しちゃうのを好む人はあんまりいないだろうし、そ

れらが若々しいに越したことはないだろうけど、そう見られないように、ってことだ

けで、外見だけ若者ファッションを真似てみたり、かつらかぶってみたり、ってのは

却って痛々しく見られることもあるから気をつけたいもんだ。もっとも、それは個々

の自由だし大きなお世話だから、それが好き、って人はやればいいけど。


どうも、テレビやミーハー雑誌なんかばかり見てると、どうしても、世界は若者文化

一色か、ってほど知らずに影響されがちで、そりゃ、そんなもんばかり見てる者の問

題であって、もっと伝統的だったり、きっちり芸術的な大人の文化もちゃんと存在し

てて、そういうものを知ってる大人にとっては、若者文化なんかは関係ない、ってこ

となんだろう。それに、どうもそういった大人の文化を知ってる人々は数が少ないよ

うに見えるんだけど、まあ、それは昔から、ミーハーは多いけど、きちんとした方は

少ないもんだ、って言えばそういうことなんだろう。

どんな時代でも、大衆が好むものはまず、ミーハー的な軽い乗りでとっつきやすもの

であって、それが時間とともに、芸に磨きがかかってきてひとつの芸術のようなもの

に成長、または、安定していくもんだろうからそれでいいって言えばいいのだ。

ただ、問題は、この情報氾濫時代、そういった一般受けする若者のミーハー的文化ば

かりがマスコミに取りざたされては消えて行くことで、その文化エキスのようなもの

は残って行くかもしれないけど、巷で作られている幾多の創造的な芸術などがきちん

と鑑賞されたり評価されたり成熟したり残ったりすることがされにくそうだ。


人の顔だって、ただ若く見えた方がいい、って風潮の昨今だけど、年齢が行って物事

の分別や人生の深みのようなもんが、顔に滲み出してくるような、年を重ねた説得力

や美しさ、ってもんもあるはずで、実際にマスコミにおもしろおかしく紹介される以

外の場所でそれは存在してるわけなんだけど、情報に溺れるわれわれは知らずに、そ

ういった価値を忘れて、いかん、しわやたるみが目立ってきちゃった、とか、どうも

今の流行がよくわからない、などと焦って、長い時間不毛の努力や嘆きに時間を消耗

してしまう傾向がありそうなのだ。しかし、そんなことに時間つぶしてるより、自分

の感性のおもむくままに無理をせず、自分の興味のテーマを追究するとか、新しいも

のに興味があるなら、本当の創造性のある若者の能力を見極めてその精神や技術を拝

借しちゃうとか、その甘っちょろさを探して意見してやるとか、なんとか頭の方を使

って若者に嫌われてた方が多分老人の身のためなのだ。

体ももちろん全身動かして、なるべく寝たきりにならない方がいいだろうけど。




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