1/30のしゅちょう             文は田島薫

(あたまでっかちについて)

先日のテレビでお笑いタレントのさんまと京大出のインテリタレントが出てて、

その京大出のタレントの名前が思い出せないんでここではKってことにしておく

として、そのKが言うには、自分は勉強が大好き、本を読んで学ぶのが大好きで、

このほどマラソンに挑戦することになり、マラソンの走り方に関する本を5册も

読んで研究したんだって。

走り方の基本、足や腕の運び方を、なるほど、って理解したそうだったんだけど、

実践したらその通り行かなかったって。体がついていかず、目標のはるか手前で

挫折したんだそうだった。そりゃそうだろう。そんなことはだれでもやる前に想

像はつく。

で、彼のような学習先行の体とのバランスの悪さはどっから来たか、って言うと、

幼い頃学習を遊びにするような環境があったらしいんだけど、その遊びでどんど

んそれをやってるうちに、学校の受験競争の環境の中で、妙に誉められたりして

どんどん調子に乗ってしまったんだろう。

で、けっきょく国立の一流大学まで出られたわけなんだけど、それがお笑いの世

界へ行って、高校しか行ってないさんまに、からかわれてる。その学問が無駄に

なってるだろう、って。いや、なんでも学問が無駄、ってことはないだろう、っ

てだれでも思うだろうけど、その彼はけっきょく、例えば、クイズ番組でボケを

するより真面目にきちんと正解を答える、ってキャラクターで生きているのだ。

いや、それはそれでひとつの芸と考えればいいだろう、って意見もあるだろうけ

ど、どう考えてもお笑い界では、さんまよりおもしろくない立場なのだ。

もちろん、学問がないよりあった方がいい、って考えることはできるし、ほとん

どの親御さんは子供にそれを望むんだろうけど、たとえばお笑いにおいては、学

問がない方が有利、ってこともありそうだ。だって、じゃまなプライドをハナか

ら持たずに済むとか。

学問は、やっぱり世の中のためになる、ってことで意味を持つわけで、それがな

ければただの趣味のオタクと同じなのだ。ま、趣味で楽しい、ってことは大事な

ことだから、それのどこがわるい、って言われれば、わるくない、って応えるけ

ど、それだけじゃちっとも偉くないんだ、ってことは世の中の教育ママたちも忘

れない方がいいのだ。もっとも世の中の受験競争などには、そんな理由のために

がんばってるんじゃないんだろうけど。




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