1/24のしゅちょう 文は田島薫
(生命力ついて)
きのうテレビをつけたら、ちょうど終わりかかった番組やってたんだけど、日本の人気タ
レントたちが出資してアフリカの村に学校や井戸をつくってやった、ってドキュメント。
その村では井戸がなかった時にはずっと泥水を飲んで生活してて、子供の40%がそのため
病死してた、って。
村に一個できた井戸で、大勢の村人や子供たちがこれでいつでもおいしくて安全な水が飲
める、って満面の笑みで大喜びして歌ったり踊ったり。
命の危機から脱したわけだからそれはうれしいだろう、って想像はできるんだけど、こん
な風にみんながくったくない笑顔で全身で喜ぶようなこと、って今の日本の社会の中であ
るだろうか、って考えると、水どころか、電気だってテレビだって車だって持ってるよう
な人々もなにかしら悩みをかかえてて、だれしもどこか不幸そうだったりするわけだ。
人間関係やら、仕事関係やら、経済的不安やら、健康的不安やら、数々の欲求不満で、と
りあえず、安全な水をいつでも自由に飲んでいいんだぜ、って言われて、や〜、よかった
うれしいな、って喜ぶ人はいなそうだ。
人間の欲望、ってもんは限りがなくて、ひとつ手に入るともっと、いいもんを、人よりも
いいもんを、って、だから、人がほんとに幸せになるためにはそういった物欲や雑念を捨
てるのがいい、って道教やら仏教やらで説かれるわけなのだ。
人工的な環境やあふれるばかりの人工物質に囲まれてるうちに、どっか、精神的な不自由
を感じて、休日になると思わず自然の中へ出かけて行って歩きまわったり、寝転んだり、
深呼吸なんかをしたくなる人が多いのはそのせいだろう。
多分、最初から、なにも物は持たず、はだかの心と、きれいな水と粗食があるだけで、あ
りがたいことだな〜、って感じられるような生活を送れたら、それこそ生命力が自然にわ
いて来るような気がする。…んだけど…。
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