7/19のしゅちょう             文は田島薫

(なでしこジャパンに学ぶことについて)

女子サッカーは男子に比べ競技人口が少なく、ワールドカップだって20年前に始まっ

たばかりで参加国もたった16、って言っても世界でそれを志して練習や競技を重ねて

きた選手たちの世界レベルの最高度の競技会であることは間違いないわけで、世界で

選ばれた素質を最高度に磨き上げた者たちの戦い、という意味で、男子サッカーワー

ルドカップでの戦いのそれと本質的に違いはないはずなのだ。

技術的にはそん色ないレベルの日本女子も、体格の差が言われて、やっぱり小さい、

もんで、なかなかメダルに届かない年月を過ごしここへ来て金メダル。

先制点入れられても、めげずに攻撃し続けるチームの集中力に感心した。

多分自分たちの技術力に自信を持ち、同時に体格のハンディも自覚して、それを、戦

略で組み立て絶対の集中力でのぞめば勝機はあると全員が信じ、選手ひとりひとりが

雑念ぬきの自分の仕事をやり遂げることだけ考えた結果なんだろう。

決勝戦でのアメリカも、自分たちが勝つのが当然というつもりで前半からがんがんと

攻撃してきたんだけど、集中してるなでしこは、きちんと防いで前半0対0。ところが

後半の20何分に攻めてたなでしこのわずかなスキに奪ったアメリカボールが一気に駆

け上がりとうとうゴールされ、あ〜、っやっぱり無理か、って気分になったのは観て

るわれわれだけだったようで、なでしこ落胆した素振りもなくいい動きを続け、同点

ゴールを。延長戦でもまた先制されて、めげずにまた同点ゴールを決めた。

ハンディを持ってたはずのなでしこには、精神的な安定があったのだ。勝つのが当然

と思ってたアメリカはさっさと決めちゃおうとがんがん攻めたのになかなかゴールで

きず、やっとゴールしたもんで、これはなんとか守って点は入れられないようにして、

もう1点なんとか早いとこ入れなくちゃ、って全員焦ったんだろう。そこ行くとなで

しこの方は余裕、たとえこのまま負けたとしても銀メダル、だし、おまけに勝つチャ

ンスも必ずあるわけだから、集中して自分の仕事をきっちりやるだけだ、なんて楽し

いんだろう、て考えてたのだ。で、その通りまた同点にして、PK戦でも、2チームの

その通りの違いが出て、なでしこの勝ち。

これは結果論、って言えばその通りなんだけど、雑念によって力がうまく出ない、っ

てのと、勝敗を無視して集中すると万全の力が発揮できる、って教訓なのだ。佐々木

監督はそれをよくわかってたのだ。




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