5/9のしゅちょう             文は田島薫

(マイナス思考の効用について)

前々回の五木寛之の「大河の一滴」の受け売りシリーズ、ってことになりそうなんだけ

ど、いつもどっか納得できない気分があったことの答をもらって、なるほど、って感心

したもんでそこの部分を多分曲解も含めて。

人は人生につまずいたり、悲惨な状況に追い込まれた時に、プラス思考で行くのがいい、

くよくよしないで、なんでも明るく前向きに考えて、がんばれば人生うまく行くもんだ、

ってみんなが口をそろえて言うことが多いと思うんだけど、例えば、今回の大災害の被

災者のような人に対して、軽々しくそんなことを言っても、あまり通じないか、反発心

だって招きそうだ。

だって、妻子を亡くしたり、住み慣れた家やローンで建てたばかりの新築の家が瓦礫に

なったりしてて、そんな状況では全然ない安泰な生活環境にいる人から、そんなこと言

われたら、私でも、うるせーなほっといてくれよ、って言いたくなるだろう。それか、

金だけくれて黙っててくれるのが一番ありがたい、って思うだろう多分。

ま、こちらもずっと、できる限り応援と援助をし続けるつもりだから、気落さずがんば

っていただきたい、って言う場合なら有効だろうけど。

悲惨な状況にいる人の気分は多分絶望に打ひしがれてるはずだから、急に、前向きに明

るく、って気持ちを変えるのは無理なことで、まず、その気持ちを自分でも十分確認し、

次に人にもそれを分かってもらう段取りが必要なのだ。

嘆いたり泣いたりしてもいいから、悲惨で苦しくてどうにもならない気持ちを正直に出

すのがいいのだ。それを思う存分やった後で、だれかがその気持ちをわかってくれた時

少し、心がいやされるかもしれないし、こうして嘆いてるばかりじゃしょうがない、人

生そんなに楽じゃないようだけど、自分の気持ちをわかってくれる人がいるなら、ちょ

っとばかりがんばってみるか、って気にもなるだろう。




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