12/26のしゅちょう             文は田島薫

八ツ場ダム建設再開について)

民主党が、マニフェストに基づき、無駄なダム建設の象徴として中止を明言して

いた八ツ場ダムの建設が、野田政権になり国交相によって建設再開が宣言された。

それを審議していた経過などは知らされず、いきなり国交相の独断のような感じ

で伝えられる、ってのはどういうことなんだろう。

どうやら野田首相は、政治改革、といったテーマはそれが不得意な歴代民主党首

相の中でも、さらに不得意なタイプのようで、できるだけ今まで先人が長くやっ

て来たことを踏襲して無難に乗り切りたい、って思ってるようで、この経済、財

政危機の上に、さらに被いかぶさるような大震災の復興政策が緊急要請の時にさ

え、既得権益保持を求める層に迎合することを優先したようだ。

八ツ場ダム建設については、古くから愛された人気温泉地も水没してしまうこと

や地元住民も移住させられることになるってことで、反対が起きたのをねじふせ、

説得や金銭保証で住民もやむなくあきらめの方向で移住など済ませてたのに、民

主党政権によってそれを振り出しに戻そう、って言っても遅い、ってことで、か

つて建設反対の住民も建設中止に反対するようになってるようだ。

住民たちの立場としては同情するとこも多いんだけども、もともと反対だったけ

ど、ここまで来ちゃったら、もう引き返すことはできない、って考えるのは、大

きな視点で見た時に、これは、いつも危険なことなのだ。

自分たちの小さな損得や人間関係で言えば、走りはじめたことを途中で変更する

ことは、武士に二言はない、ってような日本人の美意識にも逆らうことで、その

まま行くのが自然なんだろうけど、それによって、より大きな弊害を多くの人々

に及ぼすことになる、ってことを知ったなら、そんな呑気なことは言ってられな

いはずで、涙を飲んで引き返す勇気も大切なのだ。

もうすでにこの工事は当初予算の8割を使ってるのだから、完成させた方が経済

効率がいい、ってようなことを関係役人は言って忙しくてものごとを深く考える

ことができない関係政治家を言いくるめたんだろうけど、競争原理は入札の時だ

けで、後はどんどん建設費が膨らむ既得権益企業のやる公共事業は、過去の例を

見れば、後2割の予算で完成どころか、最終的には、チェックの甘さにつけこみ

いろいろ理由をつけ、当初予算の3倍4倍になることも大いにありうるのだし、

予算を超える予想は、関係者全員がすでに容認してるていなのだ。

1000兆に上る赤字国債発行の危機的財政難の中、大震災が起き、その復興が足踏

み状態の中、時代や事情も変わり有効性に疑問の多い60年も前の計画を実行しよ

う、って判断はどうなんだろうか。




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