12/27のしゅちょう             文は田島薫

(年越し派遣村について)

一昨年年末に、不況の中で失業した派遣社員などのために貧困者支援運動の先頭に立つ

湯浅誠さんが提唱し、複数のNPOが都や国の支援を受けて、日比谷公園に特設避難村を

作り500人の困窮者が集まり、その3倍の数のボランティアも動員し、テレビや新聞

で大々的に紹介されてたわけだけど、去年暮れは、国が緊急雇用対策の一環として費用

を出し都が実施という形で、渋谷の国立オリンピック青少年総合センターで、都内に生

活実態があり住居を持たず、都内のハローワークで求職登録をした者だけからその申し

込みを受け、やはり数百人が集まった模様。

一応の成果を上げ、その継続の必要性が低下したと判断されたのかは不明なんだけど、

それは国の仕事だ、と批判した石原都知事はどうも今年はそれをやらないようだ。


それについての批判的総括について一昨年の例で、いくつかの代表的とも見える意見を

ネットで検索してみると、まず、派遣社員の失業者対象だったのが、実際に来た大半が

ホームレスや、食いつめた日雇い労働者で、目的と違った、ってことや、切実に仕事を

求める人のためとしてハローワークなども4000もの仕事を紹介したけど、集まった

半数は生活保護を求めてるだけで、その半数が求職登録をしただけで、大多数は、派遣

村へ行けばメシを食えて金ももらえるらしい、って層で、金をもらうとすぐに酒やスポ

ーツ紙の売店にならんだ、ってことを批判していた。


しかし、全国に何百万人の失業者がいるわけで、中でも、緊急に食べるものもない人も

沢山いるはずで、年の瀬になって、なんとか、一時的にも救ってくれる場所がある、っ

て企画はすばらしいことで、たしかにボランティアによるそれへの労力を考えると、集

まったほとんどの人々が職を得て、新年に出発して行くのを見たい、って気持ちはよく

わかるんだけど、多分そこ行けばメシを食えるって発想をする層は年令も行き、何千の

求職があろうが、その条件に合わない人々なのだ。

みんなが楽しい(?)年越しをしてる時に、住む家もなく、雇ってくれる職場もなく孤

独にひもじい思いをしている人が、一時受け入れられもらえた金で、酒やスポーツ紙を

買いに走ったことを、なんで、とりあえず喜んでもらえてよかった、って評価できない

んだろう、批判する人たちは。たしかに本質的問題解決の道ではないかもしれないけど、

あんなに騒いでたマスコミも今や、なにもなかったようにしてるけど、現実にそれを求

める人がいてとりあえず緊急避難がその村の名前だったはずなのに。




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