1/5のしゅちょう             文は田島薫

(大切なものについて)

サン・テグジュペリは「星の王子さま」ん中で、「本当に大切なものは目に見えない」

って言ってたんだけど、その大切なもの、って何だろう、って考えると、多分、「愛」

って言葉で集約されるようなことなんだろうけど、人々の生活の中で、人は意識したり

意識しなかったりしつつ、それを求めたり、感じたり、失ったり、しつつ、喜怒哀楽の

中で過ごしてる、って言い切っていいんじゃないか。

人が努力をして何かを達成しようとするのは、他人や自分に自分の価値を認めさせよう、

より愛してもらおう、愛せるようにしよう、ってことだろう、って考えられるし。

そう考えると、人々がやってるたいていのことはそういった意味では筋が通ってる、っ

てことになるわけで、じゃ問題ない、みんながそれぞれ好きなことしてればいい、って

言って話を終えてもいいんだけど、ま、どんなことの中にもそういった「愛」に類する

部分があるとしても、ただ闇雲にそれをやってると後悔があるらしい。

努力は尊いものだ、って言っても、例えば、ほんとに人に貢献するようなものならとも

かく、個人的なテーマのものの場合、ただひたすら仕事や人間関係の量を拡大したり、

外に新奇なものを求めるだけならば、それは限りのない作業になり、そういったことに

忙殺されているうちにある時突然、自分の予定にない人生の終焉を迎えることになる。

大切なことは、「良く死ぬ」ために、早くから自分の内面を見つめ心の修業をすること

だ、って、吉田兼好も「徒然草」の中で言ってるようだ。

なんだか辛気くさい話だな〜、人生もっと楽しくやった方がいいじゃないか、って思う

のが人情なんだけど、それは人生がまだまだ続く、って思い込んでいるためだ、って。

命は長い方がいいかも知れないけど、自分の希望通りに長生きできる保証はないし、そ

れにただ長い、ってことに意味はないんだ、って。

例えば自分や自然や仏教や哲学について考えたり、やり残したくないことをすぐに始め

るのが、ほんとは人生を一番楽しむ方法らしいのだ。




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