10/6のしゅちょう 文は田島薫
(大人と子供について)
人間関係は、それを続けているうちに、知らぬ間にルールができて行く。
既成のグループに新しく加わったり、部外者なんだけどたまたまそんな集まり
などに参加したりする時に自由に発言などすると、すでにできているそこのル
ールを知らないために、非常識なやつだ、とか、空気をみだすやつだ、とか読
めないやつだ、とかって批判的な目で見られて浮いてしまったり、すぐに無視
されたりすることが起きたりするもんで、そんな場合は、おとなしくしながら、
そのルールを知ることから始めるのが普通だろう。郷に入りては郷に従え、っ
て諺通りに。
それで、そんな関係では、波風立たない形で平凡に物事が進んで行くことが一
番いいことで、利益に関する力関係などで自然とできあがった主従関係に沿っ
た形で関係が続き、新しい考えや、その関係の中の不合理な部分への批判など
は、余計な抵抗を起こすことになるので、それを思っても口に出すのははばか
ったりして、とにかく自分たちの共通の利益さえ守られれば、そのために外の
世界に不便や迷惑がかかることがわかってもみんなでそれに目をつぶったり、
独自の意見や新しい行動についての提案なども、そんな聞いたことない事柄や
面倒なことははなから持ち出して来るんじゃないってばかりに、黙殺や大反対
にあったり、元からそんなことを考えること自体、自分たちの考えの中にも入
らなかったり。
和を守る者は大人だと認められ、それを破る者はあいつは子供だ、って白い目
で見られたり仲間はずれにされたりする。
仲間の和を守ることは心地よいことではあるかも知れないけど、そのために時
には外の世界への悪作用を許すことがあったり、反対に、よりためになる作用
の可能性を止めてしまうことがあるわけだから、ただ和を守ればいい、って考
えは、向上心の欠如した、つまらない、えらくもなんともない考え方なのだ。
と言ってみても、そんなことはわかってて、それができないのが世の中なのだ、
って大人を自覚する人が言うなら、人生子供の方がおもしろくてえらい。
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