●連載
虚言・実言         文は一葉もどき


横浜が縄張りの元タウン誌ライター。
貧しさにもめげず言の葉を探求し、人呼んで“濱の一葉”。
ウソ半分、ホント半分の身辺雑記を綴ります。
もどきさん、自分の顔の有り様を客観視してみました。



しぼむ


ある夜、私はしげしげとメガネを外して自分の顔を見た。

電灯の下、陰影が深くなりすっかりバアサン顔になっていて愕然とした。

翌日、久し振りにあった友人に遠回しに聞いた。

「私ってやせた?」

「うん、やせた」

と正直な友人はいう。

「そっか、やっぱりね・・・なんだかこの頃下瞼がたれて頬がこけて、顔が

小さくになったみたい」

「小顔ならいいじゃん」

「ううん、小顔というより顔が縮んだというか・・・」

言い淀むと

「つまり、顔がしぼんだんだ」

友人は大胆にもズバリいってのけた。

顔がしぼむ、これほど女にとってショックな言葉はないのに。

だが、言い得て妙。

このあまりにも的を射た言葉にもう笑うしかない。

そう、この歳になると、目が大きいとか小さいとか鼻が高いとか低いとか、

そんな顔のパーツについては、もうどうでも良いのだ。 

ただ1点、大事なのは肌のハリだけ。

たるみ、ゆるみ、しぼみ、の3人姉妹を過保護に育ててしまった私。

今更放り出すわけにはいかない。

せめて、夢と希望はしぼみませんように。


戻る