思いつくまま、気の向くまま
  文は上一朝(しゃんかずとも)


シャンせんせいのガンリキエッセー。
センセーから今回の選挙の見方をレクチャー。



まってました、解散


今週は衆院選の公示がある。

世間では、大義なき解散といわれているがとんでもない。待ちにまった解散である。

第二次安倍内閣になってから、国家安全保障会議創設、特定秘密保護法、武器輸出三原則

の見直し、集団的自衛権行使を容認する憲法解釈の見直し等を、持論「積極的平和主義」

のもとに成立または閣議決定をしてきた。これらのものは公約に含まれていたとはいえ、

直接民意にはからずに決定された。本来ならば衆院解散はこれらのものを国民に問うため

に一年前に行われなければならなかった。


特定秘密保護法が参院で成立した直後支持率が10ポイント以上墜ちた。このとき安倍首

相は「国民の叱責」と反省の弁をもらしたが、本来ならば閣僚が諫言すべきことだ。現政

権の閣僚および党の重鎮はだれひとり首相の独走を止めることができない。

郵政一筋の小泉元首相をはじめ、過去にも暴走気味の首相がいたが今回のように国の根幹

に影響する問題にたいしてはまわりから少なからぬブレーキがかかって方針を是正した。

いまの安倍政権をみると、政治的思考停止状態にある閣僚、党の頂点に立つ安倍首相は独

裁政治をおこなっているとしか思えない。ということは、今回の選挙では自公政権を支持

するかどうかではなく安倍晋三氏の首相としての適否を問わなければならない。


決められない政治、民主党政権にあきれた国民が決められる政治家として安倍首相を選ん

だ理由はあるていど納得がいく。しかし、安倍首相が展開した政治手法はかならずしも国

民の期待にそうものではない。

異次元の経済政策と自負したアベノミクスも格差の助長にはしりどうやら息切れがしてき

た。なによりも危惧するのは安倍首相の政治信条にある。それは、祖父岸信介の政治手法

の踏襲であり安倍首相の独創ではない。岸元首相は、アメリカにたいして“おんぶにだっ

こ”のふりをしながら日本の真の独立を考えていたが、現首相はアメリカに“おんぶにだ

っこ”そのままの姿勢である。なお悪いことに安倍首相は祖父の老獪な手法をまねしてこ

とにあたっている。それは集団的自衛権行使のように憲法に抵触する問題を閣議決定です

りぬけたことでわかる。

祖父岸元首相の手法を使った具体的例をあげよう。岸元首相は60年の安保改定にあたっ

て世情が混乱することをみこんで先に警職法を改正した。安倍首相は、集団的自衛権行使

を成立させるために特定秘密保護法の成立をはかった。このように過去の老練な政治手法

を実力もないくせにふりまわす安倍首相の存在は危険である。

今回の衆院選は、アベノミクスという机上の設計になる経済政策の信否を問う形にもって

いこうとしているが、じつは安倍首相の信任投票であることを忘れてはいけない。


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