2/28の日記          文は田島薫

ニュージランド地震と東京マラソンとジョン・レノン

先週後半はニュージランドで起きた地震で倒壊したビルに埋まってしまった人々の救出作

業が、多くの日本人の若者が含まれていることもあり毎日のテレビニュースのトップだっ

たのに、番組時間の多くをそれに割いてるにもかかわらず、ほとんどわずかの成果しか出

せずいることが、私を含めた日本国民全体の気分をなんとなく重くしてるようだった。

日曜日の朝のテレビもそんなスタートだったんだけど、昼ごろから「東京マラソン」が、

行われる日、だってことに気がついた。そういった、命があるのかないのか、って大変な

目に合ってる人やそれを救うために連日の徹夜でがんばってる人がいる時に、東京のど真

ん中じゃ、3万もの人々が陽気にお祭りのようなイベントを楽しんでる、ってのが、世界

の普段の有り様そのもの、だってことだ。私だって、同じ日にお笑い番組見て笑ってるん

だし、東京マラソンはずっと以前に日程が決まってたんだし、やってる人はただ陽気に楽

しんでる、って言うよりは、とても苦しい練習やらがんばりでそれをしてるわけだし、心

を傷めながら祈りとともに走ってる人だっているだろうし、端からイベントに異義を唱え

たり批判することなんかできないし、そのつもりもないんだけど。

しかし、世界の人々の福祉に貢献したい、って志持った若者が生き埋めにされてる、って

現実には、神はなにをしてるんだ?とか、世界ってなんて不平等にできてるんだろう、っ

て感じずにはおれないわけだ。

午後は音を絞ったテレビで東京マラソン祭り流して、がんばって走ってる人々ながめなが

ら、私の方はコタツでぬくぬくと図書館で借りたジョン・レノンの暗殺までの日々を記録

した本を読んでいた。

暗殺者マークはジョン・レノンのファンだったんだけど、自分の身が経済的に不遇になり、

追い詰められて来てる時に、ジョンの贅沢な生活やら、神を信じない、って歌などに反感

を感じ出したらしい。世界平和や人々の幸福、って歌いながら、財産なんてなにもない、

って想像してごらん、って呼びかけに、その通り、自分はすっからかんだ、あんたが全部

持ってるから、って恨みを持っちゃったわけらしい。

もともと世界は平等にできてない、だれでも金が欲しいし、それを持てばそれをできるだ

け減らしたくない、増やしたい、って思うのが人間なんで、ジョンだって聖人じゃない、

聖人なんていないんだ、みんな矛盾する弱さを持ちながら、なんとか世界もよくしたい、

ってそれなりにがんばってる、って考えればよかったのだ、マークも。




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