6/27の日記          文は田島薫

マティスの庭の情景

土日の天気予報が雨になってたんで、食料の買出しも前に済ませておいたし、日曜はだい

たい1日じゅう廊下越しにおやじ手作りの池が見える部屋に座ってギター弾いたり、本読

んだり、ネットサーフィンして過ごした。

うちの両親がふすまを隔てただけのとなりの部屋にいても、ふたりとも耳が遠いので、い

くらギター鳴らしても苦情は、「(おふくろの)大音響テレビとこっちで、挟み撃ちだ」、

などと文句を言いながら寝転がってる家人だけなんで、気楽にガンガン弾いてると、新聞

の集金の少年がポールマッカートニー似の顔を紅潮させて庭に入って来た。両親の家の玄

関は池の横にあって、家の入り口はおやじが行き当たりばったりに安普請で建てた廃屋に

隠されてるため、来客がふいに現れる。

マッカートニー少年、私のギターの「ティルゼアウォズユー」のエンディングの素晴らし

さに感激してたようだ(どうだかな〜?)。先日もおやじのヘルパーさんの来る時間を忘

れて弾いてて、「アパッチ」を誉められたばっかりだし(お世辞だろ〜)。

ギターもあまり長時間弾いてると家人だけでなく当人も気持ちわるくなってくるもんで、

連続で弾き続けることは止め、本読んだり庭ながめたりもする。

すぐ目の先の網戸にぴったりくっつくぐらいそばに1メートル以上もあるサボテン系ので

かい葉の植物が池のふちにあってそこの一番高い先端にたいていトンボが止まっている。

いつも同じ種類ので、オニヤンマより胴に黒の部分が少なく黄色の部分が多いトンボなん

で、いつも1匹の同じトンボが来てるのかと思って感心してたんだけど、夕方息抜きに庭

出て、何気なく上の方見たら、周囲の電話線の上やら、廃屋の手すりやら、植木のてっぺ

んに、ずらーっと、何10匹もの同じ種類のトンボが止まってた。だからといって、でか

い葉に止まってるのがいつも同じ1匹なのではない、って言いきれるかどうかはわからな

いんだけど。




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