4/25の日記          文は田島薫

苦しさと辛さと

ここ何週間か、わが家の山桃の花粉のせいとみられる花粉症で鼻はつまって息ができない

から夜寝るのも苦しく、知らずに口でしてるもんでのどがガサガサになり咳が出ちゃうは、

目は充血してはれて、猛烈にかゆいはくしゃみは連発するは、でよく考えると(考えない

とわかんなかったのか)われながらなかなか辛い日々を送ってることに気がついた。

そのせいかどうか、辛いとか苦しいとか、って言葉に知らずに反応しちゃう体質になっち

ゃってたらしく、以前見過ごしてたはずのもんに心が動揺してしまうようなのだ。

日曜の朝のテレビでは、以前から何度も特集されてたはずのレンブラントをやってて、彼

の光と陰の絶妙なバランス感覚に改めて感心したのはいいんだけど、生涯が家庭的にも経

済的にも不遇だった、って話に異常にシンパシーを感じて、レンちゃんいいやつだったん

だな〜、って思ったり。

河合隼雄のエッセー読んでて、ベルリオーズの幻想交響曲を聴いてたら涙を押さえられな

くなった、っての読んだら早速、図書館でCD借りてきちゃうは、ついでに、ちょっとく

さくてやだな〜、って思って10年も敬遠してた五木寛之のベストセラー「大河の一滴」の

袖の文、人生は辛くて苦しい、ってとこ読んでなんだか借りてきちゃったし。

くよくよしてたらつまんね〜じゃね〜の人生楽しく行こうぜ、どんどん笑っちゃってさ、

って風にいつも思ってるはずで、それが間違ってる、って感じてるわけでもないし、お笑

い大好きで、けっこうしょっちゅう大笑いしてるんだけど、なんだか、あんまりつまらな

いお笑いなんかだと、妙に腹が立ったりして、どうも、どっちかと言えば辛い方のもんに

リアリティを感じるきょうこのごろのようだ。

借りて来た本のその袖の部分を、やっぱり今辛い気分でいるらしい家人に読んできかせよ

うと、読みはじめてびっくりしたのは、人生は辛くて苦しい、って読んだところで一瞬、

読めなくなったことだ、なにかが込み上げて来て。おいおい、ちょっとまてよ、って頭を

空っぽにリセットしたら続きを読めたんでたすかったけど。

人生は辛くて苦しいもんだ、ってマイナス思考から出発して、ものごとに期待しすぎなけ

れば、たまに思いもかけないやさしい人や一条の光に幸福を感じられる、って説に、なる

ほどその通りだな〜、っていつも避けてたベストセラーを素直に受け入れる私であった。

平静を取り戻してから、2日ぐらい前にマイミクのひとりも取り上げてたカサンドラ・ウ

ィルソンのシンプルで沁みるジャジーなボーカルを聴きながらその場運動して汗をかき、

風呂に入ってから、よく冷えたビール(第3の)を飲む私であった(オイオイ、どこが辛

くて苦し〜んだ、こらっ)。




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