10/11の日記          文は田島薫

いとこの足でお見舞いふたたび

親父の意識が朦朧で、すぐに寝てしまうもんでリハビリが進まず、だめか〜?って

ほとんどあきらめながら、鼻からチューブも取ってもらって、点滴だけにしたら、

おいおい、って焦ったのか、妙に親父の意識がはっきりしだした。

療養病棟へ移動になり、リハビリもきっちり再開してもらうことにした、そんな時

再びの連休の日曜に、約束していたいとこがまた来てくれ、おふくろと家人と一緒

にまた彼の車で引っ越したばかりの病棟へ見舞いに行った。

行くとすぐに目をさまし、前なら来た報告を聞いてしばらくするとうつらうつらし

てしまっていたのが、われわれが来てから帰るまでの1時間以上の間、ずっと目を

開けたまま、発声がおぼろながら、われわれの出すいろいろな問答をこなした。

主治医から、食べるためのリハビリを試したんだが成果がなく、もう老衰で回復は

望めないからだんだん弱って死ぬのを待つだけ、って断言されてたんだけど、親父

の食べたい意欲などを見てると、がんばれば回復できるんじゃないか、って思え、

私もさかんに耳元で励ましたりしたし、本人の自覚も出て来たようだ。で、親父が

どこまで回復できるのかは全然わからないんだけど、生命力の燃え尽きるまでは、

やれることはやればいいんじゃないかと。


親父に帰ることを告げ、4人で帰り道、おふくろ主導で決めた食堂へ寄ることにし

て、そこへ着いたところ、前回は目指したうなぎやが閉店してたこともあり、開い

てるかどうかおふくろも心配だったのが、店前にたくさんの車が止まってるし入り

口あたりには喪服着た人も立ってる、や〜開いててよかった、って入ろうとすると、

入り口に、“本日宴会により貸しきり、休業します”って。

ありゃま、またか、じゃ、あそこでいいや、ってまだおふくろも入ったことのない、

って言う、寿司とそば、をやってるちょっと道を戻った別の店へ。

カウンターの他に座敷き席の部屋が二つ三つあり、まだ昼時なのに、客はわれわれ

以外ひと組だけ。いとこは寿司とそばのサービスランチ、おふくろは鉄火巻、家人

と私はおろしそば、を注文。手打ちのそばがすごく固かったけど、前回の店よりは

旨かったんで、おふくろにそう言うと、勘定払う時、いろんな店で食べたけどここ

のそばが一番旨かった、って私が言ってた、って伝えたようだ。飲食店経営の方々

はくれぐれも、お世辞には気を許さないように気をつけていただきたい。




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