11/8のしゅちょう             文は田島薫

(気持ちの伝え方について)

物と情報があふれるなにかと忙しい現代はなかなか生身の人間関係を深めるのが難しい

ことが多いようで、老若男女いずれも友人の数を競っても、親友と呼べる友人がいない、

って例もけっこうあるようだ。

つきあいの浅い相手に自分の気持ちを生でぶつけると、誤解も生じることが多いのだけ

ど、それは根気よく修復に努めればたいていは、関係も好転するはずなんだけど、それ

にも不安や面倒さを感じたりで、あまり深入りする会話は避けたり、ってことで、関係

の浅さの悪循環、ってことになるわけだ。

ま、最初から相手に不快を与えるような誤解を避けられて、気持ちが素直に伝わるのが

理想なわけだから、その方法があればそれを知って実行するだけでいいわけだけど。

自分が相手に伝えたい事が好意である場合は、一方的なストーカー行為のようなことさ

え謹めば、たいてい不愉快な関係にはならないと思うんだけど、問題は、不満や不快を

伝えたい場合で、人はそういう感情になった時に、自分の不満や不快は、「当然のこと

でだれもが同じに感じるはず」って思い勝ちなんだけど、意外に、相手には相手の考え

方なり事情があり、よかれと思ってたりってことがけっこうあるわけで、もちろん単に

無頓着なだけ、って場合もあるけど、いずれにしろ、最初から悪気があっての行為って

ことはまれで、そういった者だって、悪いけど、そんなにたいしたことではない、って

考えてることが多いわけだから、それに対して、「あなたはいけない」とか、「間違い

だ」とか言っても伝わらないだろう。

そこで、これはイトイ新聞の糸井重里さんからの受け売りなんだけど、「私はそれを不

快に感じてます」、って言うだけでいいと。

これを知った時、私はなるほど〜、ってうなった。そうなんだ、感情的に大声出しても

伝わらないことが、控えめに発するこの一言で絶大な効果が生まれるのだ。

だって、私が感じちゃったんだから、しょうがないわけで、それに反論のしようがない

わけなのだ(そう感じるのは間違いだ、って主張する人もいるけど、間もなくそう言う

自分の間違いに気づくはず)。たしかに、あんたが感じるのは勝手だ、ってことで、切

り捨てられる可能性もあるんだけど、私自身の経験で言うと、人によかれと思ってして

ることが、逆な風に感じてる人がいる、って知った時はいつもかなりショックで、後で

長い時間考え込まざるおえなかったから。




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