4/26の日記          文は田島薫

北斎はライバル

朝のテレビで葛飾北斎の特集をやってた。傑作を10の部門に分けて紹介、って構成で、まず、

北斎漫画で、これは、観察力と描写力にユーモアを加えた量質ともにだれが見てもすごい。

次は富嶽36景、これも構成力と完成度の高い傑作で、私も大好き。次に滝沢馬琴の挿し絵、

から肉筆画、とどんどん筆数が多くなるに従って「まずく」なる(言っちゃったよ)。

確かに、人を圧倒する描写力は効いてるんだけど、描写力を見せるための描写といった感じ

がどうしてもしてしまうのだ。多分、北斎さん、自分の才能の大事な部分に無自覚で、リア

ルさといった描写のテクニックの追究に意識を集中しすぎてしまったんだろう(言うね〜)。

だからと言って、北斎さんがだめな画家というわけではなくて(当たり前だろ)、世界最高

水準の芸術家である事実は変わらないし、私だって(偉そうだ)彼を尊敬している。作品の

価値について他人があれこれ言ったとしても、作家当人にとっては関係ないことであり、自

分が追究したいことについて追究する自由はあるわけなんだから、私の感想もただそれだけ

のものなんだけど。

で、午後になると、北斎じゃないけど(並べるな)私も絵を描かなくちゃいけない立場を思

い出す。月末から高円寺で恒例のグループ展に参加することになってるのだ。

ギターと読書とテレビを切り上げて事務所へ行き、約30分でA3ノビのクレパス画2点描いた。

私は時間かけないでパッパ、って描くのが、作為的にならない方法だと心得てるのだ。

以前はホームページ上で売ってるねこ絵はがきのための小さな絵を拡大出力して出品してた

のが、その大形プリンターが壊れ、それができなくなったもんで、仕方なく、小さな絵をエ

スキス(絵の下準備用スケッチ)として、タブロー(完成画)を描く、ってイメージで描く

ことになったわけなんだけど、エスキスとタブローの差があまり見えない。

小さく描いていたやつを、同じ筆スピードで大きく再現しようとすると、描きなぐったよう

ないい加減な絵なのに、なかなかねこさんの顔が決まらず、大判の紙10枚ぐらい失敗した。

こういったスピードタッチの絵は描き起こしも、もう一度精神統一して新たに描き起こすぐ

らいのつもりでないと、決まらないのだ。


※高円人展の詳細




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