12／28のねこさん 文は田島薫
むんがなにか見てる
単独行動の多いむんが庭から道路へ出て行く時、私がベランダからながめて
ると、たいてい道路を右の方へ歩いて行き、ななめ向いの家の向こう角で止
まりそこから左に入る狭い行き止まりの路地の向こうをながめてる。
いつも同じパターンで、今朝も、そうしてじっと座ってるんで、むんの目に
はなにか見えてるんだろう、っていつも気になってたんで、さっき、確認に
行って、しゃがんで向こうを見てみたら、3軒ぐらい先のつきあたりにある、
何年か前に一人暮らしのおやじが亡くなって今は親戚がたまに手入れにくる
家の垣根と植木の多い庭が見えた。
あ〜、道に日があたってい〜感じだね〜、さ〜、またあそこへ行ってみっか
ね〜、とととととと、って来て、と、ここが、わたいは好きなんだよね〜、
こ〜、ここでながめてんのがね、ほら、むこうに林があって、こ〜、風が通
りぬけてく感じが気持ちい〜んだよね、それにさ、見てるとさ、あの林ん中
から、時々やさしそ〜なおじさんが手をふってくれんだよね。