9/9のねこさん        文は田島薫

パネの長い追跡 2


家人と東北の旅から帰った2〜3日後の夕方、近所のスーパーへ、って言っても

1〜2分で行けた近所のそれが半年ぐらい前に閉店してドラッグストアに変わっ

ちゃったんで、反対方向の歩いて7分ぐらいのそれへふたりででかけようとし

てたら、ごはんの時間かと思ったパネとバットが坂から下りて来た。すぐ帰っ

てくっから待ってて、って言って出かけ、2ブロック行き突き当たりの線路の

防音壁を右に曲って、なだらかな階段を上がってると、後ろでねこさんの声が

したんでふり返ると、パネがいた。じゃ、家人ひとりで買い物行くことにして、

私はパネと家へ帰ろう、って形で少し歩き出してパネを手招きしても、パネは

家人のそばを離れない。じゃ、私が買い物に行き家人がパネを止めておくこと

にしたら、パネは家人になでられてて歩き出した私の方は見ない。


あ、ふたりで出て来たね〜、あやし〜ね〜、こないだも出かけるとこを追いか

けて戻ってこさせたと思ったんだけど、あの後やっぱりいなくなっちゃったん

で、気をつけないといけないんだよな、第一、まだ晩ごはんもらってないんだ

からこのままどっか行っちゃう、て〜とみんな腹ぺこのまま、ってことになっ

てのたれ死んじゃうかもしんないからな、いちお〜、追いかけてみっかな、い

ちお〜、こ〜隠れながらついて行って、と、ちょっとこのへんで、一声かけと

くか、あっ、あっ、うほんっ、も、もどってこいよ〜、お、気がつかれちゃっ

たね〜、あれ、おばさんじゃない方がぼくといっしょに帰る、ってか、ちがう

ちがう、おばさんといっしょの方がい〜の、ごはんくれる人の方が。


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