8/6のねこさん 文は田島薫
むん、思わず逃げる
朝の6時過ぎる頃、たいていむんは玄関のあたりで寝転んでごはんが出るのを待っ
ていて、いつも家人がそれをしてやるんだけど、たまに私が出た時もむんは慎重に
自転車の下に回りながらお愛想声出したりする。今朝は私が1階に下りた時、玄関
のガラス戸の向こうに寝転んでるむんらしい影が見えたんで、家人を呼んだ。家人
が出てって、むんや、ごはんやるからね〜、待っててね〜、とか優しい声出してる
と、むんもさかんにそれに応えた声を出してる。で、私もむんの食事を見物してみ
ようと、玄関を出たところ、むんは急に体の向きを変えて、小走りに1メートルば
かり外へ逃げた。ふたりで大丈夫大丈夫って言いながら私だけ玄関に入りドアを閉
めたんだけど、後で聞くと、むんは1メートルばかり離れたとこで寝転がって、し
ばらくしたらゆっくり戻ってごはんを食った、って。
そろそろごはんが出る頃なんだけど、きょうは遅いね〜、お、なんだか家ん中で声
がしてっから、すぐ出てくんだね、お、出た出た、まずおばさんが出て、それから、
ごはんが出て、わたいがそれを食う、って順番なんだよね、よかったよかった。は
やくしてよ〜、腹へっちゃってんだかんね〜、つってると、おっとっとっと、あの
気がきかない方も出て来たね〜、やばい、逃げ〜、いやいや、思わず逃げたけど、
あの気がきかない方だってごはん出してくれる時もあんだから逃げるこたなかった
かも、いや、わり〜わり〜、いや、ちょっと急にこっちで寝転びたくなっちゃって
さ〜、つっても、話が無理に聞こえるかもね〜、だけど、すでにおばさんがごはん
出してんだから、気がきかない方は出てくんじゃないよ〜、ばかにゃろ〜。