7/17のねこさん        文は田島薫

家に入れてくれー


昼間の殺人的暑さが少し和らいだような気もしなくもないけど、まだ随分暑いぜ、

ってようなきのうの夕方、家人と2番目最寄り駅の方へ歩いてた途中の路地。どっ

かからねこさんのなき声が聞こえるもんで、ふたりであたりを見回してみると、そ

ばの住宅の玄関のピタっと閉った重厚そうな木のドアの前に茶とらがお座りして、

さかんに中の住人に訴えてる模様。ふたりで、しばらく見てると、少しドアが開い

て住人の声とねこさんの安心した声が重なったんで立ち去った。


おーい、もーいーから家に入れてくれー、涼しーかと思って思わず外へ出たがった

ぼくがわりかった。もーたっぷり、外を楽しみましたよー、あっというまだったけ

ど。おーい、聞こえないのー、もーちょっとおーきー声出したほーがいーのかなー、

どーなのかなー、おーきー声出して入れてくれー、ってゆーとちょっとかっくわり

ーから、なんとかこのへんで、気がついてくれー、ほら、もー、2人組のだれかが

こっち見てるよー、かっくわりーよー、たのむよー、お、あいた、いかったー。


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