11/12のねこさん 文は田島薫
ひとりぼっちのむん
朝と夕方のごはん時にねこさんたちはわが家の玄関に集合するんだけど、いつも近く
いつでもどこでも人を見ると自分からやって来ていっぱいなでてもらうのが大好きな
ニケはともかくとして、わが家に来るねこさんで私がそば行ってなでてやろ〜、って
すると、グレとパネがちょっとだけさけようとする時があるけど、それでも全身なで
られるのはきらいじゃないよ〜なのに、むんだけは、さわれるのは食事の時に首と背
中の前の部分だけだし、もっとなでよ〜とすると、相変わらずいつもさっと逃げる。
それでも、私を見つけると、じっとこっちを見てることがあり、さっきも、事務所の
前の枯れ葉の上に向こう向きに座ってたんで、ガラスをとんとん、ってたたいてみた
ら、首だけこっちをふり返ったんで、よ、って手を上げて笑ったら、じっと不審そ〜
にこっちを見つめてる。私も笑いながらじっとむん見てると、むんもじっとこっちを
見続けてる。しばらくそ〜してたら、ゆっくり向こうを向いた。
いやいや、ここの枯れた葉っぱの上はちょーどい〜あったかさで昼寝にもい〜んだよ
ね。こ〜、こんなとこに静かにひとりでじっとしてる、って〜と心が落ちついてきて
い〜もんなんだよね。なんでみんなはあ〜やって、いろんな人にさわられるのを喜ん
でんのかがわたいにはよくわかんないだよね〜、なかまど〜しだったら、いっしょに
じゃれあったりすんのは楽し〜んだけど、みんなは、それよりもだれだかわかんない
人とじゃれあうのが好きみたいでさ、だって、ごはんくれるおばさんだって、やさし
そ〜だけど、ほんとはなに考えてっかわかんないだろ〜し、わたいたちにごはんくれ
て太らしてからどっかに売り飛ばそ〜って思ってるかしんないじゃん。だから、わた
いはいつもあいつらを見張ってて、いざとなったら、すぐ逃げられるよ〜にしてるん
だよね。ほら、うしろから、あんにゃろめが笑ってんじゃん、なんだばきゃろ〜、も
し、へんなことすっと逃げんだかんね、ば〜ろ〜、でも、これって、ひょっとすっと、
食い逃げ、ってやつなのかね。