2/15のねこさん 文は田島薫
グレー思案する 2
急に初夏のような暑さんなったきのうの午後、家人と近所のスーパーへ行く途中の稲荷
神社となりの家の狭い庭をのぞくと、道路ぎわの垣根のすぐ向こうにグレーがいた。グ
レー、なんだかぼーっとした風情でわれわれの呼びかけに首をまわしてこっち見たんだ
けど、なんだか目がうつろな感じで、無表情のまままた首をあっちに戻す。しばらくな
がめながら何度か声かけをくり返したんだけど、こっち向いても同じように無表情に、
すぐ向こう向いてぼーっとしてだまってる。向こうの発泡の箱にはミケのひとりが寝て
て垣根の外の奥の家のアプローチの一番奥にはもうひとりのミケが寝そべってて。
いや〜、きょうはあっちーね〜、いつものよ〜にあいつの箱んとこ行っていっしょに寝
よ〜としたら、なんだかもっとどんどんものすごいあち〜ことになって、ふだんおとな
し〜あいつも、ばきゃろ〜、って怒ったもんで、びっくりしてここまで出てきちゃった
んだけど、いやいや、ど〜なっちゃってんのかね〜、なんだか頭もぼーっとなっちゃっ
てなにがなんだかわからない、ぼくはだれ?ここはどこ?なんだかどっかで見たよ〜な
2人組がぼくになんか言ってるよ〜なんだけど、なんて言ってるのかな〜、ん〜ん、そ
れにしてもあち〜ね〜、で、またなんか言ってるの?なんて言ってるのかな〜。