1/18のねこさん        文は田島薫

おやしきのねこさん


きのうの午後、家人とわが家から南の方へ長い散歩に出かけた時、素朴なつくりの古く

てでかい屋敷があって、奥のへい入口に小さな黒っぽいねこさんが門番のように座って

て、へいの外こっち側にある2〜3本の木にはみかんがなってて、もっとこっちにある

枯れ木にはすずめたちが飛び回ったり止まったりしていた。われわれは、遠くのねこさ

んに、ちょっちょっ、って舌で合図したり、よ、って手を上げてみたりしてると、ねこ

さん、こっちに気がついて、後ろをふり返ったりしてから、こちを不思議そうに見つめ

てたんだけど、体はずっと動かないままだった。


いやいや、ここで、日なたぼっこしながら、木さんや風さんのにおいやささやき声聞い

てんのがぼか〜好きなんだよな、ぼくんちの庭で遊んでる鳥さんたちも楽しそうだから、

ぼくも楽し〜気分になるね〜、いやいや、ありゃ?向こうで怪し〜2人組がこっちを見

てなんか言ってるよ〜だね〜、え?こっちにだれかいたっけかな、ぼくの後ろか?いな

いから、ぼくに言ってんの?あんだって?わっかんね〜だす、あっちの方で知らない人

がなんか言ったってわかるわきゃないんだから、もっとこっち来てしゃべればい〜のに、

もっとも、そん時にはぼくは逃げるけどね。ま、なんか言ってるね〜、でいっか。


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